こんなん書いてましてん(手紙風)『雪村君へ』(薄桜鬼 山南敬助)
雪村千鶴様。
突然このような文を送られて君は困っているかもしれませんね。
夜桜を見にいった晩のことを思い出しまして、文を認めてみようと思い筆をとったわけですが。
あの晩、私の誘いを君が断らず付き合ってくれるとは思いませんでした。
断られるのを覚悟で行ったのですが、いとも簡単に君は「はい」と答えてくれました。
羅刹である私を怖がりもせずにいとも簡単に。
それは、君が優しい人だからでしょうか。
君のその優しい心で私の重苦しかった心が安らいだのは言うまでもありません。
あの夜の散歩に君がついてきてくれて私はとても穏やかに心安らかに桜を見る事ができました。
羅刹になって以来、私は皆との間に溝ができたような気がしてならず、思わず君に話してしまいました。
でも、君は私に言ってくれましたね。
私は生きていると皆もそう思っていると。
話せて触れてできると。
一人思い悩んでいた事が綺麗に解決されたような気がしました。
君は本当に不思議な子だと思いましたよ。
こんなにも人を安らげるほどに君は本当は心の強い人なのかもしれませんね。
自分では分からないかもしれませんが、私はそう思いましたよ。
君と見たあの夜の桜は本当に綺麗だと思いました。
私の心が安らいでいたからでしょう。
また、このような機会があれば君と夜桜をみたいものだと心から思いました。
長々と文を認めてしまいましたね。
最後に言わせてください。
私は君の優しさに救われました。
これからもきっと君には辛い事もあるでしょうが、どうか、その優しさを忘れずにいてくださいね。
山南敬介