こんなん書いてましてん『この命の終わりまで』(薄桜鬼 平助 千鶴)

優しいその手に繋がれて千鶴は毎日が幸せなはずなのにどこか悲しみがいつも付き纏う。

ふとした瞬間に彼が消えてしまうような気がして。


「千鶴、ここに座ろうか。」

そこは緑の葉をおいしげらせて命の息吹をいっぱいにたっている大きな木の木陰だった。

「そうだね。」

千鶴は平助の横に腰を下ろす。

「千鶴、何か元気ねぇ気がすんだけど、何かあったのか?」

平助は千鶴の顔を覗き込む。

「うんっ?!そ、そんな事ないよ。気のせいだよ。全然元気だよ。」

千鶴は無理に笑顔を作る。

「そっかぁ。なぁ、千鶴。」

「ん?なあに平助くん。」

平助の方に振り向く千鶴の肩に手を置いて千鶴を抱き寄せる。

「平助くん?!」

「ちゃんと生きてるだろ、俺。」

「平・・助・・くん。」

抱きしめる腕に力が入る。

「俺は生きてる。ちゃんと、こうやってお前を抱きしめてる。」

「うん・・・でも・・・いつかは・・・。」

平助は大きく息を吐くと言う。

「俺はまだまだ死なない。お前を一人になんてしない。これからもっとお前と過ごしていきたいって思ってるから。」

平助の言葉に千鶴の目から涙が溢れる。

「う・・ん・・うんっ・・。」

「確かにさ、俺は羅刹になって命を削ってた。だけどさ、今はお前と共に過ごす時間が大切でまだ死ねねぇってさ思うんだ。」

涙を流しながら千鶴は平助の言葉に耳を傾ける。

「俺はさ、千鶴、お前が望むかぎり生きていこうって思える。お前に・・惚れてるからさ。俺の生きる意味ってさ、今はお前だから。」

「うん・・・。」

「この命の終わりがいつかなんて俺にもわかんねぇ、正直、怖いって思う。でもさ、この命の終わりまで俺はお前を幸せにする。お前が泣けばその涙は俺が拭う。つか、俺に拭わせてくれよ。お前が笑えば俺も笑っていられっからさ。お前の笑顔が好きだって前にも言ったろ。だから、笑って過ごそう。」

「うん・・うん・・」

千鶴の涙が止まらない。

「千鶴。」

平助は抱きしめていた腕を緩め千鶴の顔をみる。

「泣くなって、ほら。」

優しく涙を拭う。

「大丈夫、俺は傍にいるよ。いつもお前の傍にさ。まだ、終わらせねぇから。だから、笑って過ごしていこうぜ。なっ。」

優しく拭われていく涙。

平助の温かい気持ちが千鶴には嬉しかった。

「笑顔で・・いる・・ね。」

涙を堪えながら千鶴は笑顔を作る。

「おう、お前の笑顔が俺の元気の源だからさ。ずーーっと笑って過ごして行こうな。でも、泣きたくなったら一人で泣くんじゃねぇぞ。俺が必ずいるとこで泣けよ。涙を拭ってやるからさ。」

「うん、約束だね。」

「ああ、約束な。」


千鶴は平助の胸にもたれかかり平助の心臓の音を聞く。

「ちゃんと生きてる。私は平助くんの事信じてるから。」

「ああ、ちゃんと生き抜いてやる。」

そう言うと平助は千鶴をまた抱きしめるのだった。



END

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