続きだお!『居場所』(薄桜鬼 沖田 千鶴 斎藤)

千鶴がうとうと眠り始めた矢先に襖が開く音ががした。

”ああ、斉藤さんが帰ってきたのかな。目開けなきゃ。”


千鶴は眠りに落ちそうな自分を一生懸命起こす。


うっすらと目を開けるとそこには・・・・・。



「あれ、千鶴ちゃん。目覚ましちゃったんだ。静かにはいったつもりなんだけどな。」


「おっ・・沖田、さん。」


「そんなに驚くことかなぁ。どうせ、みんなも来たんでしょ。僕がきたって別におかしいことでもないと思うけど?」

新選組一番組組長沖田総司は飄々とした態度で答える。


「いえ、その、まさか沖田さんまで来るとは思わなくて。風邪うつさないようにとか言われてましたし。」


「心外だな、君の様子に気がついて寝てろっていったのは僕だよ。それなのに君は僕がお見舞いに来るのは嫌なんだ。」


少々拗ねた子供ような言い方をする沖田に千鶴はせいいっぱいの笑顔を浮かべて言う。


「いえ、とても以外でしたが嬉しいですよ。来ていただけて。」


沖田は千鶴の顔を見ていきなりクスクスと笑い出す。

「な、何かおかしなこといいましたか?私。」


笑いを押し殺しながら沖田は答える。


「いや、君の引き攣った笑顔がたまらなくおもしろかっただけだから。」


そう言うとまた、笑いだす。


”せいいっぱいの笑顔だったのに具合が悪くてもちゃんとしなきゃと思ってしたことのなのに。”


いつもなら膨れっ面だけですむのに熱のせいで心ぼそくなっていたせいか千鶴の目に涙がたまる。


「沖田さんは、意地悪です・・・・・。」


そう言うと泣き顔を見られたくなくて頭から布団をかぶる。

つまらない事で泣くなんてと思いながら涙がこぼれる。

「千鶴ちゃん。」


沖田は千鶴が頭からかぶっていた布団をめくる。


「いやっ、見ないで下さい。くだらない事で泣いてって思っているんでしょう沖田さんは。」


「ごめん。別に泣かすつもりじゃなかったんだ。」


沖田の声がなんとなくとまどった感じに聞こえる。


「まさか、こんな事で泣くなんて思わなくてさ。いつもなら千鶴ちゃん膨れっ面するだけだし。」


「ねぇ、千鶴ちゃんっ。」


そう言うと沖田は千鶴の両腕を押さえつける形で顔からのけさせた。


と、次の瞬間、襖が開き斉藤一が入ってきたのだった。


一瞬時がとまる。

「あれ、一くん何しにきたのさ。」


「いや、桶の水を取り替えたのでもってきたんだ・・・じゃなく、総司、お前は何をしている。」


沖田に尋ねる言葉は冷ややかな含みをおびていた。


「何って、一くんには何してるように見えてるのかが気になるなぁ。」


沖田は冗談まじりな口調だがそこには意地悪な笑みが浮かんでいた。


とうの千鶴は涙を流したまま二人の会話をぽかんと聞いていた。


「総司、お前は雪村に何をしようとしていた。返答次第では・・・。」


斉藤は桶を下に置き刀に手をかける。


「布団をかぶって泣いてる彼女に謝ろうとしてただけだけど。ね、千鶴ちゃん。」


「へっ・・・」


「本当の事を言え、雪村。総司に何かされそうになって泣いていたのではないのか?」


千鶴は自分と沖田の体制にやっと気がつき、はっとする。


「いえっ、本当に沖田さんが意地悪な事をまたおっしゃったのでいつもなら聞き流せるのに熱のせいか涙がでてきたので布団を頭にかぶっていたのを沖田さんにはがされただけです。それに、ちゃんと謝っていただきました。」


「本当なのだな?」

斉藤は千鶴の目をみて嘘か本当かみわけようとしている。


千鶴は斉藤の目をじっと見つめて答える。

「はい、本当です。」


「わかった。お前の目は嘘をいっていないようだ。」


斉藤は刀にかけた手を下ろす。


「ああ、よかった。」


「よくない。」


「何、一くん、まだ何かあるの?」


「総司、いい加減その手を離して雪村に布団をかけてやれ。雪村はまだ熱がさがっていない。」


斉藤に言われて沖田は何を思ったのか千鶴に言う。

「ねぇ、千鶴ちゃん、寒いなら僕が添い寝して暖めてあげようか?」

「へっ・・・。」


あまりの言葉に千鶴はすっとんきょうな声をあげる。


斉藤はまた刀に手をかけ言う。


「総司っっ!!」


「あ~、もう、二人とも本気にしないでよ。冗談でしょう、冗談。」


そう言いながら千鶴の両腕から自分の手を離すと千鶴に布団をかける。


「冗談にしてももう少しましな冗談を言え総司。」


斉藤も刀から手を下ろす。


そうして、二人は千鶴の右横に並んで腰を下ろす。


「すみません、斉藤さん。それに沖田さんも。」


千鶴が謝罪の言葉をのべると。


「別に、僕は君に謝られることはなにもないけど。」


「総司。」

斉藤に睨まれて沖田はわかりましたよと言う顔をして千鶴を見て言う。


「さっきはごめん。どうしても君をみてるとからかいたくなるんだ。」


「総司。」


「泣かしちゃってごめんね、千鶴ちゃん。」


沖田はいたすらっぽい笑顔を浮かべていった。


「いえ、私こそ、すいませんでした。」


「もう、いいだろう。雪村、少し休め。熱があがる。」


「そうだね、君が眠るまで一くんと二人で傍にいてあげるよ。そしたら寂しくないでしょ。」


「えっ、でも。」

「雪村、総司がなにもしないように俺が監視している安心して休むといいだろう。」


「ひっどいなぁ、一くん。」


「うるさい。静かにしていろ。雪村が眠れん。」


「はーい。それじゃ、千鶴ちゃん目をつぶってお休み。」


「でも、お二人とも寝ないと明日がありますし。」

「気にする事はない。俺達なら大丈夫だ。雪村、甘えるべき時は甘えていいとさっきもいったはずだ。それに、お前が眠れば俺達は部屋に帰り眠る。」


「そうそう、僕達が早く眠るためには千鶴ちゃんが早く眠らなきゃ。」


沖田たちの言葉に千鶴は頷き、瞳を閉じる。


だんだんと意識が眠りに落ちていく中、斉藤と沖田の言いあいが何となく聞こえていた。


”「一くん、何で監視役なのさ。」

「お前はさっきの事もある。だからいるんだ。」

「だからあれは違うっていってるじゃない。まったく、一くんの石頭。」

「石頭などではない。普通に考えればあの状況はどうみても・・・・・。」


襖の開く音・・・。


「あれ、総司に斉藤。」

「なんで、一くんと総司がいるのさ。」



「おいっ、お前ら何で二人でこんなとこにいるんだよ。」


「左之さん、巡察は?」

「おう、もう終わったぜ。」

「もう、そんな時間なのか。」”



さっきよりも部屋の中が騒がしくなっていたが千鶴は眠りに勝てなくてそのまま意識を手放した。







続く・・・・・。

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