『恋文代筆屋~縁~』序
紫紺の髪に翡翠の瞳。
妖し雰囲気を纏いて『恋文代筆屋~縁~』の看板を掲げている一人の少女。
名を「逢瀬 結」という。
彼女の代筆した恋文は必ず縁が結ばれるという。
ただ、この店に入れるのは、必要がある者だけだという。
その店は、必要の無い者には見えない。
その判断は己の心根しだいなのだと、いつぞや彼女は言っていた。
えっ?私ですか?
私は彼女が唯一言葉を交わしてくれる者でございます。
皆は私を言霊師とよんでおりますが…。
私の事は後々に語る事に致しましょう。
まずは、彼女、『恋文代筆屋』逢瀬 結のお話を致したく存じます。