pixivであげてたとある乙女ゲームの妄想駄文
『ねぇ、もしも二人が』2
朝、目覚めると外は良い天気で日差しがぽかぽかと心地いい。
「千鶴、起きてるか?原田だけどよ。」
襖越しに原田さんが話かけてきた。
身支度を整え終わっていたので襖を開けても大丈夫だとつげると襖がゆっくりと開く。
「すまねぇな、朝早くに。」
「いえ、大丈夫です。それで、どうされたんですか?」
「んっ・・ああ。いやよ、土方さんから言われたことだけどよ、平助や総司が焼きもち焼かないともかぎらねぇからな、早めに出て行こう思うんだ。朝飯はどっかで喰えばいいだろ。」
私は原田さんのいう平助くんと沖田さんが焼きもちを焼くという意味が今ひとつ理解できなかった。
「平助くんと沖田さんが焼きもちですか?」
「あぁ、あいつらお前の事気に入ってるみたいだからよ。それで、な。」
なんだか、よく分からないけどそういうことなら早めにでたほうがいいよね。
「わかりました。でも、土方さんには許可いただかなくていいんですか?」
「それならもうもらった。夕餉のあとに話しといたから大丈夫だ。」
「そうですか。原田さんはさすがですね。」
私がそう言うと原田さんはニっと笑って私の頭をなでる。
「んじゃ、行くか?」
「はいっ!」
私達はみなに見つからないように裏口から屯所をあとにした。
しばらく早足で歩いていてたけど屯所からだいぶ離れたので今度はゆっくりと歩きだす。
「千鶴、大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。」
「そうか。すまねぇな。朝から急がせちまってよ。」
「いえ、お気遣いくださったんでしょ。全然、平気ですから大丈夫です。むしろ、何か、楽しかったです。抜け出すみたいで。」
私が笑顔でそう答えると原田さんはニコリと笑う。
「まぁ、お前にとっちゃ初めての事だから楽しかったんだろうな。」
ぷっと吹き出しながら原田さんが言うので子供扱いされた気がしてむっとしながら私は言う。
「子供だって思ったのでしょう。」
「わりぃわりぃ。でも、まぁ、これくらいでむくれるようじゃ子供だな。」
そう言うとまた、笑い出す。
「もう、原田さんっ!!」
「わりぃ。もう笑らわねぇから怒るなよ。可愛い顔がだいなしだぜ。」
そういって私の頭に手を置き撫でる。
この手が頭を撫でるたび何故か落ち着く。
何かもかもがゆっくりと心の中で溶け出していく。
「千鶴、腹へったろ?」
「そうですね。朝餉もまだですし。」
「んじゃ、とりあえずあそこの飯屋で何かくってこうぜ。」
原田さんは言うと私の手を握りお店へと向かうのだった。
続く・・・
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