(手紙風朗読)「梓へ…敬助より」

『梓、この手紙を君が手にしているという事は

俺は、この世にいないという事だよな。

梓、お前を一生守っていく、幸せにすると約束したのに、約束を守れなかったな。

ごめん、ごめんな。

謝って済むことではないよな。

でも、やっぱり、その言葉しか浮かばない。

本当にごめん。

梓、俺の病気がガンだとわかった時、沈む俺を支えてくれたのは梓の言葉だった。

「二人で闘おう、二人で克服しよう。敬ちゃんは私が支えるから。」

梓、お前には、本当に支えられた。

俺が痛みのせいできつく当たった事が何度となくあったよな。

お前、辛い筈なのに笑顔で堪えて…本当は泣きたかった筈なのに泣かないで俺を励ましてくれた。

言葉ではなく、お前の手に…優しく背中を擦るお前の手に励まされた。

何も言わなくても、お前の気持ちが痛いほど伝わった。

梓、お前を幸せにできなくて先に逝く事になっちまった事…ごめんな。

一杯の愛を梓にはもらったのに返せなくてごめんな。

なぁ、梓。

俺は、俺の事を忘れてくれとは言えない。

でも、お前に幸せになって欲しいと願う気持ちも嘘じゃない。

忘れてくれとは言えないけど、お前の心の片隅でいい、こんな人が居たなって位でいいから覚えておいてくれたらって思う。

我が儘でごめんな。

最後になるけど、梓。俺は、お前と出逢えたこと、感謝してる。

お前が居たから、最後まで病気と闘うことができた。

お前のその笑顔に救われてた。

だから、笑顔を絶やさずに、お前の幸せに向かって前を向いて歩きだしてくれな。

梓、本当にありがとうな。

梓、いつも梓の幸せを願ってる。

それじゃぁな、梓。元気で。

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