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認めてほしくない
忙しない日々を送っていると、限りある時間のなかで、最善の選択をミスることが多々ある。
失敗することがとっても嫌いな人間なので、いつだって石橋はたたいて渡る。
一つ行動をするのにも何度も確認をしないと不安で仕方ないタイプのだが、業務量が増えるとそうもゆっくり考えていられない。
分からないことが沢山ある中でバタバタと動き回っていると、失敗を沢山繰り返すので、日々自分のポンコツさに腹が立って仕方なくなくなる。
終電の電車に向かって歩く中で、その日の反省点が頭の中にぐるぐると渦巻いて、消えたくなるのがしょっちゅうだ。
どんよりとした気持ちをどうにか処理しようと、ポジティブな言葉を自分に投げかけてみる。
(失敗は成功の元!恥ずかしがって動かないよりも何倍も成長に繋がってる!大丈夫!)
自分を励ませば、自分を褒めてあげれば、元気な気持ちが湧いてくるだろう。
そう思っていたが、実際はそうも上手く運ばないことに気がついた。
以前、「人間どうせ好かれる」という記事で、自分に対する他者の認知について触れた。
自分では自分をよく見せようといつも回りに気を遣っていたつもりでいたのに、実際はありのままをみんなに認められてしまってる。そのことに気がついたから、もっと気楽に自分を出していいと思い直した。
そんな内容の話をした。
この時の自分は、ありのままを知られていた上で、自分を認めてくれる人の存在がありがたいと感じていたし、この発見は、自分を好きになるきっかけを感じられた出来事だった。
だけど、トボトボと自分を励ましながら歩く帰宅道で、ふと自分を苦しめているものの存在に気がついた。
(きっと、周りの人は私のことを、失敗を繰り返しながらもしっかりやっていると思っているだろう。不慣れな仕事をする中での失敗は、成長の通り道として当然の過程だと感じているだろう)
(ダメな人間だとは誰も思ってないだろう。)
以前の私なら、ダメな人間だと思われているのではないかということが恐怖で、いつもビクビクしていたのが、他者の目線の認知が変わってからは、自然とこう思うことが出来るようになっていた。
これまでの考えなら、このことを前向きに据えて、また頑張ろうと思えるはずなのに。
実際はむしろ逆で。
「ダメな人間に思われてない。」「至極当然。」という感覚の方が、苦しかったのである。
それはきっと、自分の中で、どこか自分は周りより特別なのではないかと考えてしまう自分がいたからだ。
出来ないことがある分、何かでは他の人より出来ることがあるのではないかと期待してしまう自分がいるからだ。
自分の中の理想の自分がダメだと言っているのに、周りは理想の自分とは程遠いラインで自分を評価している。
そのことを自分自身で認めてしまうことの方が怖かった。
失敗する私を認めないでほしい。
この感覚はなんなんだろう。
「才能を証明できる人間を天才と呼ぶ。」
とある漫画のセリフを思い返してみる。
才能はそれだけで何かになるものでなく、血のにじむ努力があって、初めてカタチになる。
私には天才と呼ばれるほどの才能はないけども、ちょっとした得意なことと不得意なことははっきりとある。
だけど、得意なことって、本当に努力をして伸ばさないと、何にもならないんだなぁと最近ひしひしと感じている。
そのことに目を背けて、なんとなくの感覚で、得意なら上手くいくと調子に乗っていた自分に、現実がボディーブローをかましてくる。
それが苦しみの原因なのだと思う。
注意散漫な人間だから、特別に出来ることが初めから備わっていることなんて、
ない。
あるのは、ちょっと偏りのある性質だけ。
努力で伸ばさないと何のカタチにもならないその性質を、初めから完成形だと認識してはいけないのだ。
そもそも、人に備わっている基本スペックなんて大した差がない。
注意散漫だろうがそうじゃなかろうが、私は普通なのだ。上でも下でもない。
周りからの評価が、私が思っているよりも期待値が低いことが、その現実を自分に突きつけてくる。
この苦しさと直視しなければ、私は一生頭の中の河頭をやってしまうんだろうな。
出来損ないだと思うからこそ、むしろ特別だと思ってしまう自分から抜け出さなければ、本当に素質を伸ばすことなんてできないんだろうな。
醜態を晒して、恥ずかしさに死にたくなりながら、
現実と直視しながら、泥臭く前に進まないとね。
こんなことに、20代後半でやっと気付いたなんて・・・
気付いたからといって、すぐに何かが変わることなんてないけど、出来ることを一つずつ、腐らずやっていこうと思います。
以上!おしまい!
ここまで読んでくださってありがとうございました。