John Muir Trail 道具について
John Muir Trailの道具について。
日本の山と違い山小屋などがほとんどないため、衣食住の全てを自分で担ぐ必要があるJMT。少しでも快適に、そして少しでも荷物は軽くしたいものですよね。
3週間もつづけて山を歩いたことなんてないし、アメリカの山を歩くのも初めて。気候や必要なものを想像するのはなかなか苦労しました。
また、山歩きである以前に海外旅行でもあるため装備にも少し工夫が必要。
実際に持っていった道具の紹介やこれはいらなかった、もしくはこれを持っていけば良かった、なんてことを書いてみたいと思います。
長くて見辛いですが↑がギアリスト。重量も参考までに。
ちなみに「身につけるもの」を除いた重量の合計が11.17kgです。これに食料と水が加わります。一部共有装備があるとはいえそこそこな重量です。いわゆるULとはかけ離れてますが、比較的軽量道具を選んだつもりです。道中あったハイカーの多くは見た感じこれの1.5倍くらいの重さがありそうでした。
・パッキング
・バックパックは山と道のThree をチョイスしました。45Lで推奨重量10kg前後なので色々と心配はありました。そもそもベアキャニスター入るのか?とか。
同じく山と道のOneも候補にありましたが納期の都合で却下。Hyper Light Mountain Gearの3400(55L)や4400(70l)もも検討しましたが予算の都合もあり諦めました。
実際の使用感ですが、想定荷重10kgのところ満載の時だと20kg近くあったためどうしても肩や腰の疲れは感じました。だいぶ無理な使い方をしたと思います。使い勝手としてはかなり良く、フロントのメッシュポケットは想像以上の収納量があり、テント一式+αが入ります。サイドポケットのボトルの取りやすさは文句なし。僕はここ結構重要視します。3週間酷使しためウエストベルトの付け根が少しほつれてしまいましたが、その他はノートラブル。ウエストベルトに装着するZIPPACKも使い勝手抜群でした。次回があるならOneを試してみたいな、と思います。
サブバッグとして、Rawlow Mountain WorksのDinky(18L)を。これは持っていくか悩みましたが、飛行機での移動やJMT前後のアメリカ観光のことも考え持っていくことに。トレイル上ではそれほど出番はありませんが、移動の時など活躍しました。シルナイロンやキューベン等のナップザックなら100gを切るのもあるのでそういうものでも十分かもしれないです。
・就寝
・テントは元々LocusgearのKhufuを使っていて軽量さや設営のし易さなどとても気にいってました。今回は2人で使うということでHapiをオーダー。納期ギリギリで一度も張らずにアメリカまで持っていきました。インナーは悩みましたが蚊対策で持っていくことに。結果2019年は異常に蚊が多いシーズンでしたので持っていって正解でした。2人で使っても狭さを感じず快適で、トレッキングポール1本で立つシンプルさも素晴らしいです。1つ心配だったのが、岩場のテント場でペグが刺さらないシチュエーションでうまく立つのか?というところ。実際そういう場面は少なかったですが、岩にくくりつける用の予備のガイラインを用意しそれでうまく立てることができました。
・シュラフはNangaの380UDDで、その名の通り羽毛量が380gのもの。僕は結構寒がりなのでこれでちょうどいいくらいでした。明け方寒く感じる日もあったけど寒くて寝れない、という日はなかったです。羽毛量300g程度のキルトとかを選べば軽量化出来そうです。
・メインのマットはKymitのInertia O zone。枕つきなので贅沢な部類ですが、快適性を重視してこれを選びました。山と道のminimarist padは座布団+寒い日のブースター用として。朝晩のストレッチの時や食事の時など活躍しました。エアマットはやはり贅沢品かも。もう少し厚みのあるクローズドセルだけでも十分だと思います。大荷物のハイカーは断熱の入った分厚いエアマットを使っていて快適そうでした。
・衣類
・行動時は半袖+半ズボンを想定しそれ以外の衣類がこの項目にまとめてあります。まずはレインウェア。7-8月のJMTは比較的雨が少ないことや、日本に比べ乾燥した気候となので透湿性よりも軽量性を重要視しました。Patagoniaのトレントシェルは2.5層のため、透湿性は低いですが、わりと軽量かつ安価(新品でも15000円位)です。OMMカムレイカは2.5層ながら透湿性も高くストレッチも効いていて使い勝手がいいです。両方ともウィンドシェルも兼ねています。雨は21日のうち3日間降りましたが、いずれもにわか雨だったのでこの装備で十分しのげました。
・防寒着ですがトップスはPatagoniaのマイクロパフ(化繊)+PatagoniaのR1(薄手フリース)、ボトムスはNangaのダウンパンツを持っていきました。
毎日は使いませんでしたが、ダウンパンツはあると安心です。わりと寒がり方なのでトップスの組み合わせは悩みました。フリースはR2も検討しましたが、結構かさばりそうなのでやめました。結果R1だと行動着にも積極的に使えて良かったです。薄手のシャツはロンTとトレーナの間位の生地感。気温的には半袖で十分なのですが、日焼けと蚊対策でほぼ毎日着ていました。薄手のシャツだと温度調整もしやすくさらにいいかと。そしてコットンは汗と長時間触れると変色するようです。僕はそれを知らず、シャツとTシャツをダメにしてしまいました。ある意味いい思い出です。
・タオルはRidge Mountain Gearのワッフルタオルでこれはとてもお気に入り。麻+コットンでできていて、マイクロファイバー系のタオルが苦手な人にも安心です。拭き心地はタオルで乾き具合は手拭いといったところ。普段使いもできて今でも毎日使っています。
・食事関係
・食事は基本的にそのまま食べられるものかお湯を注ぐだけのものを選びました。湯沸かしだけならアルコールストーブ+チタンカップなどの選択肢もありますが、どんな環境でも素早く沸くJetboilを選びました。1秒でも早く食事をしたい時もあったのでJetboilの沸騰スピードには助けられました。また日本のフリーズドライ食、例えば尾西のご飯はお湯量200ml程度だったと思いますが、アメリカのフリーズドライ食は400ml程度使うものも多かったです。
・カップは手持ちで一番軽いシングルウォールのチタン製を選びましたが、スープなどすぐ冷めてしまいますね。その点ではプラスチックの方が良かったかもしれません。
・カトラリーはいわゆるスポーク(先割れスプーン)を。Snow Peakのはさすが日本製、ご飯粒も取りやすいです。他のハイカーが使っててうらやましかったのは柄の長いスポーク。袋から直接食べる時に手が汚れません。
・ベアキャニスターもいくつか種類がありますが、カーボン製のものは予算的に諦め定番のBearVaultを。僕はこのサイズで約7日分の食料が入りました。3〜4泊のセクションの方は一回り小さい350というものもあります。両方とも日本では購入できませんが米国Amazonで取り扱いがあり日本への発送も可能です。やや割高ですがどれくらい食料が入るのか不安だったので事前に購入しました。REIのオンラインで注文し店舗で受け取るのが一番安く済むと思います。ただ意外とリードタイムが長い(1〜2週間)のでご注意を。ちなみに僕らが行ったSFのREIでは店頭在庫は完売していました。旅を終えたベアキャニスターですが、日本の山だと使い道がないですよね。我が家では米びつとして第二の人生を歩んでいます。
・浄水器はJMTでは必須装備です。水が本当に豊富なトレイルでしたが直接の飲用は非推奨です。小さくて手軽なSawyerシリーズを使っている人がほとんどで、ペットボトルの口にもフィットします。僕らはなぜかminiを買ってしまいろ過に手間取りました。価格も大差ないので普通サイズをお勧めします。また浄水器にパッキンがついているものは必ず予備を持って行った方がいいです。僕らは1人1つ浄水器を持っていきましたが、途中で一つパッキンを無くしました。またそれと同様ペットボトルのキャップも予備があるといいです。僕は何度か風に吹かれ無くしかけました。ちなみにペットボトルはアメリカのスーパーなどに売ってる細長い500mlのミネラルウォータのものが使い勝手がいいです。示し合わせたようにハイカーは皆それを使っていました。
・装備
・トレッキングポールはLocugearのカーボン製のものを。メーカーによって最大長が違うのでワンポールシェルターを使う人は注意した方がいいですね、ちなみにHapiは130cm必要です。また各関節のクイックアジャスターの締め具合を調整するのにドライバーが必要なタイプがあり、途中ドライバーのないハイカーに貸してくれと頼まれました。Locugearのは手で調整できるタイプでこういう細かい仕様の違いも山の中だと重要になってきますね。
・2019年は残雪の多いシーズンでしたのでチェーンスパイクは必須でした。途中、レンジャーが取締り?をしていてチェーンスパイクを持っていないハイカーはその先の残雪の多いPassは通行不可、なんてこともありました。この辺はシーズンによってもまちまちだと思うので最新情報を参考にしてください。
・カメラホルダーは定番のPEAK DESIGN。ショルダーパッドにシュッとつけられるあれです。片手で取り外しができ、ロックもついてるので不意な落下もありません。撮影中に手を滑らせ落とすのが心配だったので細引きで作ったネックストラップを併用していました。
・太陽光で充電できるSolar Puff Miniはわずか50gでテント内を明るく照らしてくれます。ヘッドランプの電池の節約にもなるのでお勧め。たまに家でも使ってます。
・サングラスも必須装備です。シェラの日差しはとにかく強くて、雪が残っている箇所では照り返しも強烈。当然ですが、サウスバウンドだと常に太陽に向かって歩くことにもなります。きちんと紫外線をカットしてくれものを選んだ方がいいです。Zoffのsmartシリーズは軽量かつ柔軟性もあるので耳が疲れにくいです。また柔らかいので壊れるリスクが低いように思います。
・日本の山ではあまり馴染みがないヘッドネット。頭に被る蚊帳で2019年は特に蚊の多いシーズンでしたので重宝しました。防虫剤が練り込んであるものもあるみたいです。
・その他
・救急キットや常備薬は人によって内容も様々かと。幸い包帯やガーゼを使うシーンななかったですが、絆創膏は何枚か使いました。また意外と役に立ったのがテーピング。僕は膝が痛くなりやすく、ありさは足首を捻りがち。サポーターは持っていたけど片方ずつなので両方痛くなると困ります。そんな時テーピングを使いました。テーピングって慣れてないと使い方もわからないですよね。僕はkindleでテーピングの本を買ってiPhoneにいれておきました。一通りの使い方は書いてあるので便利です。
・当然ですがトイレはなく、自然の中でことを済ませます。トレイルと水場から離れたところで穴に埋める必要があるため小さなスコップは欠かせません。靴べらのようなシンプルなスコップを持っていきましたが、地面が固いとこなどでやや苦労しました。先端がノコギリ状になってるのが使いやすそうでした。また簡易のウォシュレットも必須だと思います。いちいち紙を持ち運ぶのは嫌だし、まして土の中に埋めるのはアウトです。電池式の高性能なものもあるみたいですが、手で押し出すタイプが壊れなくていいです。僕らはJMTの1ヶ月ほど前にインドに旅行に行ってたので水と手で洗うのに慣れてましたが最初はちょっと戸惑うかも。
・マップはナショナルジオグラフィックのものを持って行きました。準備の時からこれ1冊です。現地ではこの地図をメインにして「Guthook」というiPhoneのアプリを使っていました。トレイル上は電波は届かないのですがGPSでの位置の取得は可能で、わりと精度も良くテント場や水場の情報も載っています。常時つけてるとバッテリーがもったいないので、道が不安な時などに起動して使っていました。どちらもJMTのトレイルがメインで、サイドトレイルは途中までしか載ってない場合があるのであらかじめ確認しておくのが良いと思います。
・バッテリー関係も人によってまちまちでしょう。モバイルバッテリーはAnkerの20000mAhのものを選びました。これでiPhoneと時計、osmo pocketの充電を賄えました。ちなみにトレイル上で電源があるのはReds MeadowとVermilion Valley Resortだけで、わりとコンセントも混み合っているのでタイミングによっては充電時間も限られるかもしれません。また朝晩冷えるのでバッテリーの持ちが通常より悪くなることも考慮するといいと思います。
・カメラのレンズが砂と脂と日焼け止めでベタベタになるのでメガネ用のアルコールを含んだシートを持っていきましたが小さくて便利でした。
・虫除けも忘れると悲惨な目に遭います。僕らは少しなめていて日本で入手した蚊除けスプレーを持って行きましたがあまり効果がなく途中RedsMeadowで買い足しました。あまり馴染みがないですが、ディートという成分が蚊に対して有効でアメリカでは様々な濃度のものが売っています。ちなみに日本で買ったものはディート10%、アメリカではディート100%のものも売っていました。ただし、ディートには発ガン性があるようで、やみくもに濃度の高いものを使うと危険です。だいたいですが30〜50%程度が効果を感じたので必要に応じて混ぜたりしながら使っていました。
・日焼け止めと保湿クリーム系も必須ですね。日焼け対策を怠ると1日で真っ赤になります。やはり紫外線が強いようで、僕も油断していたら2日目に熱をもってしまって結構しんどかったです。また、今回は全身に使える保湿クリームとして馬油を持っていきました。日焼けでひりひりするところやひび割れた指先のケアなんかに重宝しました。唇がひび割れたハイカーにもよく出会います。普段使わない方もリップクリームは持っていくのをおすすめします。
・シルナイロン製の折りたたみバケツは軽いながら10Lの容量がありなにかと使い勝手が良かったです。洗濯や、水場が遠いキャンプ地でよく使いました。洗濯したものを干すようにロープもあるといいでしょう。ピンと張れるようアジャスターをつけとくと便利です。
・身に着けるもの
・行動着ですがベースレイヤーにfinetrackのスキンメッシュのTシャツタイプのものを選びました。撥水性が高く汗戻りしないのが特徴で、この旅に向けて購入しましたがとても良かったです。僕はわりと発汗量が多めで特に背中はびしょびしょになりますが汗冷えを感じる事がほとんどなかったです。これにTシャツを着て気温に合わせレインウェアやフリースを着用しました。パンツはPatagoniaのバギーズショーツ。定番品ですね。中のメッシュパンツは切り取って使ってます。バンダナは日焼け防止で首に巻いたり帽子と組み合わせて日除けを作るのに使いました。手拭いでもいいですね。
・靴はALTRAのLonePeak3.5。岩場なども想定したトレラン系シューズです。渡渉は靴を脱がないスタイルを選んだので防水性はなく、速乾性のあるものを選びました。革のブーツを履いて、渡渉時はサンダルに履き替える人も多かったですが手間ですのであまりおすすめしません。足の冷えを気にして靴下はメリノウールにしましたが乾きが悪い印象でした。ポリの速乾性のもののがあっているのかな?と思います。
・カメラはFujifilmのX-Pro2にXF23mm F2のレンズの組み合わせ。APS-Cなので換算35mmのレンズです。ボディもレンズも防塵、防滴の組み合わせでしたのでわりと安心して使えました。絶景が続くだろうし、XF16-55mm F2.8mのレンズにするか悩みましたが重量問題や歩くことより写真撮影に気が向いてしまいそうでやめました。フルサイズクラスのカメラを持っている人にはほとんど会わず、Sonyのα6000シリーズを使っている人が多かった印象です。ビデオ用でOsmoPocketも持っていきました。ジンバルつきの小型カメラでUSB充電もできるので使い勝手は良かったです。思い出用に1分程度のショートムービを何本も取りましたが後半になってナレーションがあった方がいいことにようやく気づきました。笑 動画に関してはiPhoneでも十分だったかないう印象です。後から見返すと写真とはまた違ったその場の雰囲気を感じれるので動画撮影はおすすめです。
・iPhoneは上記の通りマップアプリやkindleで本を読むのに使いました。現地のsimカードは買いませんでした。トレイル上はほとんど電波も入らないようです。
・高度の確認やルートの記録のできるSuuntoの時計を持っていきましたが、同期していたルート情報が途中で消えてしまい後半はルート記録はしませんでした。高度は多少のズレはあるものの参考にはなりましたがなくてもいいかもしれません。高性能時計はバッテリーの心配もしなければいけないのがネックでした。
・サコッシュは山と道のものを。シンプルで使い勝手はとても良かったです。パンツのポケットは空にしておきたい派なのでサコッシュには地図、携帯、サングラス、行動食、リップクリーム等を入れて、ウエストベルトのポーチに日焼け止め、虫除け、バグネット等を入れていました。
長くなりましたが道具については以上です。
荷物は軽いにこしたことはないです。ただあまりにそこに執着しすぎて快適性を失うのも本末転倒ですね。僕の場合あと1〜2kgは軽くできるかもしれませんがそれ以上はあまり想像がわきません。僕は山歩き以前に山の道具が大好きです。JMTでは3週間にわたり愛すべき山道具に囲まれて暮らすのはとても幸せでした。皆さんも是非お気に入りをつれて行ってあげてください。
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