見返りを求めない、それでも続ける

「りーーちゃん、行くよ」

朝。
わたしは眠たい目を擦りながら、
冷たい廊下を歩き祖母について行く。

暗い仏壇に灯をつけ
ろうそくに火を灯し
両手を合わせる

漢字が並べて書いてある赤い本を
手に持ち
読み始める

お経である。

約10分のお経を読み、仏様、神様に
「無病息災、今日もみんなが元気で過ごせますように」
念じる。

そう、祖母が言うように心を込めて。

祖母は祖父が4年前に亡くなってから
毎朝毎晩お経を読んでいる。

お経を読むことで祖父とお話をする

どんなに足腰が痛くても
どんなに疲れていても

お経は必ず読むのだ。

その真摯さ心の温かさ広さに
私は何度も目が熱くなった

私は時にめんどくさく感じてしまう
情け無い。
それでも毎朝欠かさず続ける祖母の継続力には圧倒される。

そのせいか祖母は仏様に守られているのではないかと感じる

以前に
脱水症状になり瀕死状態になった時も
バイ菌が体に入り命が危険と言われた時も

助かったのだ

どんなにお経を読んでも
褒美もない
見返りもない　

しかし、その心の強さこそが体の強さに変わり
彼女なりの命を繋ぐ糧になっているのではないだろうか


全く、祖母から学ぶことが尽きないのだ

そんな祖母の強さを皆さんに知ってもらうべくここに綴った

祖母、強し