不安になる夜に
わたしはよく不安になる。
大抵の人がそうであるように、それはほとんどが夜の時間で、よし寝ようと決めて布団のなかに身体をすっぽり隠してから現れる。
なにをどう不安に思うかというと、それはほとんどが将来のこと。わたしはこのままで大丈夫かな。お金が足りなくならないかな。仕事はこの先どうしたらいいのかな──。太陽の出ている明るい昼間には思わないあれこれが一気に押し寄せてきて、わたしを不安で包み込む。
幸い、隣に恋人が寝ているので、彼が完全に眠りについてしまう前に話しかけてみる。「なんか、不安になっちゃった……。」と言うと、「なにが不安なの?」と眠たそうにこたえてくれる。「私このままでいいのかな……。」すると優しい彼は寝たいはずなのに面倒くさがらずに、「いいに決まっているよ。今の⚪︎⚪︎(わたし)はすごく素敵だよ。それに、2人なんだから大丈夫だよ。」と力強く言ってくれる。そうか、2人なのか。私はひとりじゃなくて、優しいこの人がいるのか。よかった。大丈夫だ。さっきまでの深い不安はスッとなくなり、私はたちまち安心感に包まれる。
将来のことなんて誰もわからないからこそ、眠くて意識がない瞬間でも「大丈夫」と断言してくれる人がいてくれることが、どんなに心強いことか。わたしはその言葉を信じて、彼を信じて、生きていく。この人がいる限り、わたしはずっと大丈夫。
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