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ZOOMシアターを観劇して

お友達で現在ニューヨーク在住の河村早規ちゃんがアシスタント・ディレクター兼グラフィック・デザイナーをつとめたRenGyoSoh En: 2021のZOOM公演を観劇した 。

ZOOMシアターといえばロックダウン期間中、ロンドンにあるシアターThe Old VicのZOOM公演は見逃さず観劇した。それはそれで楽しめたが、テキスト重視のプレイだという事も多いにあるのか、私はやはりライブシアターと比較してしまい観劇後はシアターをオープンできない状況を余計に感じ虚しくなった。

一方、今回観劇した En: 2021ではZOOMだからできるパフォーマンスって何だろう?というシンプルな問いに対して、作り手とパフォーマーが試行錯誤をしてできた実験劇場のような作品だなと感じた。彼らがリハーサルの中で発見したZOOMという限られたスペースを使った”遊び場”を垣間見たような感じがしてとても新鮮だった。

パフォーマーの6人がそれぞれで自主制作し、事前に撮影を行ったショートフィルムとその間をつなぐライブ・パフォーマンスを含めての1時間半の公演だった。それぞれ自宅にあるストリングライトを使ったり、パソコンのカメラにポリーカラーをかぶせて、あたかも照明が変わったかのように見せたり、プロジェクターを使ってみたり、魅せ方の面白いアイデアがたくさん詰まった作品であった。与えられた環境の中でシーンを生み出していく。それが、Devised Theatreの醍醐味であり強みでもあると改めて感じた。

私のお気に入りのシーンは6人のパフォーマーが2人組になり、ZOOMごしにミラーリングエクササイズをする場面。当たり前ではあるが、そのシーンをみた時に、ひとは画面越にコミュニケーションを取ることができるし、そして何より”その場(in the moment)”に一緒に存在することができるということが証明されたと私は思った。また、それを”わざわざ”ZOOM越しにおこなっていることに対して無性に惹かれたのは私だけだろうか?

公演終了後はZOOMをあっさり切るのではなく、観客も招いてZOOMチャットを行っていた。彼らの作品に対する思いやリハーサルの仕方なども聞くことができたし、観客も感想を直接シェアできて、これも新しいしおもしろいなと感じた。

ライブシアターとZOOMシアターを比べてしまえば、やっぱり生には替えがたい。
映画とZOOMシアターを比べると、できない事も多い。
でも、やり方によっては現在のテクノロジーとアーティストたちのアイディアでZOOMシアターも新しいジャンルのものとして確立できるんじゃないか?と思わしてくれる、新しい可能性がみえた作品だった。


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