「今年のインフルエンザワクチンは高齢者優先」は正解なのか
【2020年10月20日 2019年/2020年のインフルエンザ―シーズンのデータを用い、インフルエンザと新型コロナに重複感染した際のリスクについて解析した論文について追記しました】
日本では65歳以上の高齢者を優先させ、医療従事者・子ども・妊婦は後回しにすることが要請されたインフルエンザワクチンですが、9月16日、9月もまだ半ばというのにインフルエンザワクチンを接種しました。写真にある"Grippe Impfung”というのがインフルエンザワクチンです。
接種してくれたドクターに「例年より早くないですか?」と聞くと、「いつ寒くなって何がどう流行るかわからないからね」と言われました。医者も接種を受ける人も立ったままで次々と接種していきます。
マスクなどの新型コロナに対する予防策が功を奏しているのか、新型コロナが流行っている影響なのかは分かりませんが、今年、インフルエンザは世界的にまったくと言っていいほど流行していません。
小児科医の間では以前から「RSウイルスが流行るとインフルエンザが流行らない」と言われているそうですが、ウイルス同士の干渉が互いの流行状況に与える影響についての状況証拠はあれ、確たるエビデンスはありません。アメリカCDCも、今年の(北半球の)冬のインフルエンザの流行状況については「冬になってみないと分からない」としています。
では、今のところはどうなのか。具体的に見てみましょう。
こちらは、WHOが世界52か国に対して行っているインフルエンザ・サーベイランスのグラフです。2020年第15週以降、確かにグラフにほとんどインフルエンザが報告されていません。
第15週というのは5月の第1週です。つまりロックダウンを始めたころから急激に感染者数が減っていき、ロックダウンを解除しても感染者は増えていないと言えます。
驚かれると思いますが、直近の8月17日から30日の期間では、かぜ症状の患者から採取した145万681検体のうちインフルエンザはわずか
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