税金は「年貢」じゃない!民主主義の成熟~熊谷俊人X村中璃子【対談】④
熊谷俊人(千葉市長)との対談「新型コロナとワクチンから考えるリスクコミュニケーション」の4回目の注目は、熊谷さんの名言「税金は年貢じゃない!」。その心は――?本対談は2020年11月17日、守れる命を守る会と千葉県保険医協会の共催で行われたものです。
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村中: 日本では専門家がまるで政策決定者のようにふるまったり、逆にそうふるまわらされたりすることがある。わたしはそれが興味深いし、そこに日本のリスクコミュニケーションの問題があるのではないかなと考えています。コロナでは、政府に対してもう待っていられないといった危機感から専門家委員会が動いてしまったこともありましたし、原発の時も同じようなことがありましたが、日本では、何らかの政策決定がある専門家の発言に基づいていると、政策決定者ではなくその専門家が批判の対象にされることが多い。
こういったトラブルを避けるためには、やはり専門家のオピニオンと政策決定はきちんと区別して扱える制度の整備が必要なのではないかなと思うんです。
たとえば、アメリカでは、ワクチンの無過失補償制度というのがあります。決められた条件を満たした治験を行い、安全性や効果に関するデータをきちんと確認した上で導入したワクチンで副反応が起きた場合、導入すべきだと評価した専門家の委員会はもちろんのこと、導入を決めた政治家も、実際にワクチンを接種した医師も、ワクチンを作った製薬会社も誰も責任を問われない。その代わりに、その被害に対する補償は政府が責任をもってちゃんと行うという制度です。こうした制度を作ることなく、単なる努力だけで、政策を提言した人と実行した人を切り離すというのはなかなか難しいと思います。その辺りについて、地方行政レベルでできることはあるのでしょうか。
熊谷: 地方行政でも、ここ最近は意思決定した首長が訴えられられて賠償を求められるようなケースも多く、昔と比べれば首長もディフェンシブ(防御的)です。政治家も、安全サイドに大きくずれてお金を使った場合は責められないじゃないですか。
たとえば、千葉県でいうと柏市が放射能でホットスポットと言われて、校庭の表土をがーっとはいだわけですよ。0.2~3マイクロシーベルトでどう考えても問題じゃない数値ではがしていったわけですよね。あれって誰も検証していないんですよ。検証したら当然必要なかったとなるし、じゃその時に問題ないといわれるもので、検証されない。それより市民の税金を何千万、何億という税金を使ったんだという、これは検証されていないわけですよ。
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