高まる反コロナデモと対立する科学者たち
ドイツの首都ベルリンで、政府の新型コロナウイルス対策に抗議する3万8000人規模のデモがあったと報じられたのが8月29日のこと。以来、ドイツにおける反ワクチンデモのことは日本のメディアでも何度か耳にしたことだろう。
2020年春のロックダウンに際しては、アンゲラ・メルケル首相が、民主主義の基盤である個人の自由が一時的に制限されることに理解を求めるスピーチを行い、ドイツ国内だけでなく世界からも絶賛された。
そして、10月30日の報告で1日の新規感染者が19059人と2万人に迫ったドイツは、今日11月2日から2度目のロックダウンに入る。1度目のロックダウンとは異なり、飲食店やホテルなどの営業は停止するが、学校は継続するなど部分的ロックダウンとなっている。
ワクチンも治療薬もない新型コロナの拡大を前に、「ロックダウン以外に方策はない」というのは研究者たちの間でも異論のない方針だ。しかし、先週木曜、日本の感染研にあたるロベルト・コッホ研究所が「レストランやバーなどの閉鎖は流行拡大にあまり寄与しない」と報告すると、ロックダウンのあり方に関する国内の専門家の意見も割れた。
コロナウイルスのひとつであるSARSウイルスは、現在、筆者がつとめる独ベルンハルト・ノホト熱帯医学研究所で同定されている。
SARSを同定したウイルス学者はふたりいる。ひとりは現在もベルンハルト・ノホト熱帯医学研究所に所属するシュテファン・ギュンター氏、もう一人は現在では、ベルリン ・シャリテ大学病院ウイルスセンター長のクリスティアン・ドロステン氏である。
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