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子宮頸がんワクチンをめぐる「命と科学を損なう2つの裁判」へのメッセージ

6月13日、科学的な言論を守るための団体「守れる命を守る会」は、「子宮頸がんワクチン、積極的接種勧奨差し控えから6年―命と科学を損なう2つの裁判」と題した記者会見を行い、声明を発表しました。その際に寄せられたメッセージが同会のウェブサイトに掲載されていますので、私のnoteでも紹介させていただきます。公表の許可がとれたのは医療関係者のものだけとなってしまいましたが、私のもとには一般の方からいくつものメッセージが届いています。

どれも大切なメッセージです。本当にありがとうございます。

子宮頸がんワクチンをめぐる2つの裁判について、守れる命を守る会は以下のように説明しています。

1つは、2016年7月27日に提起された子宮頸がんワクチンによるものだという被害に対する国家賠償請求訴訟です。しかし、子宮頸がんワクチンの安全性と効果は、世界中の大規模データから科学的にはっきりと確認されています。一方、ワクチンのものだと言われる症状とワクチン薬剤との因果関係に関する科学的な証明は一切ありません。

もう1つは国賠訴訟からわずか1週間後の8月4日、子宮頸がんワクチンの薬害を主張する池田修一氏から提起された村中璃子医師に対する名誉毀損訴訟です。池田氏は、「子宮頸がんワクチンを打ったマウスだけに脳に異常な抗体が沈着。海馬の機能を障害していそうだ」「ワクチンを打った後,こういう脳障害を訴えている患者に共通した客観的所見が提示できている」などと発表しましたが、そのような事実はありません。本年3月26日、一審判決は被告の全面敗訴となり、雑誌社と元編集長は判決を受け入れましたが、村中氏は4月8日付で控訴しています。

以下、メッセージです。


■公益社団法人 日本医師会会長 横倉 義武
HPV ワクチンの積極的接種勧奨停止から 6 年、この間、日本では毎年子宮頸がんに罹る女性、亡くなる女性が増えています。“守れる命は守る”という医師の使命を果たすため、 HPV ワクチンの接種を促し、女性の命、 未来を守っていきましょう 。

■公益社団法人 日本小児科医会会長 神川 晃
HPV (子宮頸がん)ワクチンの接種勧奨の再開を願ってガンを予防できるワクチンは B 型肝炎ワクチンと HPV ワクチンの 2 種類だけである。近年、若い女性に増加している子宮頸がんは、年間約 10000 人罹患し、死亡数は約 3000 人である。小児科医は子どもの未来を守る責任がある。予防接種後に精神的肉体的苦痛に悩む子どもたちへの支援体制が整えられた今、HPV ワクチンの接種勧奨再開が望まれる。

■公益社団法人日本産婦人科医会会長 木下 勝之
世界の国々では、子宮頸がんは、HPVワクチン接種と検診により、過去の疾患になりつつあります。その事実にもかかわらず、未だに、多くの女性が子宮頸がんで尊い命を落とし続けている国があります。そう、日本です。しかも、子宮頸がんは、若い女性を中心に増加しているのです。WHOは「子宮頸がん撲滅へ世界協調的な行動を!」のスローガンを図りました。日本
だけが、取り残されてしまってはなりません。子宮頸がんは撲滅できます。HPVワクチンの積極的な接種勧奨の一日も早い再開を強く要望します。

■大阪市大正区医師会会長 樫原 秀一
国家賠償請求訴訟: 子宮頸がん予防ワクチンの有効性については諸外国で承認・評価されている。
名誉毀損訴訟: 科学者でない裁判官が実験結果の真贋を見極めるのは難しい。仮定・実験・結果・考察が理解できれば何が真実かは明らかである。

■NPO 法人 VPD を知って、子どもを守ろうの会理事長 菅谷 明則
公衆衛生学的に最も有用な疾病の予防手段であり社会規範のひとつである予防接種は、科学的根拠によって接種判断がなされるべきです。有効性が明らかな HPV ワクチンについては早急な勧奨接種再開が望まれます。

■予防接種を推進する会・ちば 代表 猪股 弘明
不適切な研究を紹介して、反ワクチン方向に加担した医学者は反省すべきでしょう。子宮頸がんワクチンの有効性が続々と出て来ています。日本の若い女性に国はどう責任を取るのでしょうか。

■千葉県保険医協会会長 岡野 久
「ワクチンで防げる病気はワクチンで防ぐ」これは世界の趨勢で公衆衛生の根幹です。定期の予防接種であるにもかかわらず、国民にその情報を伝えない。「積極的勧奨の停止」から 6 年を迎えることに深い憤りを感じます。年間 1 万人の女性が罹患し、3,000 人の尊い命が失われていることをわが国は見過ごしていくのでしょうか。一日も早い再開を求めます。
■滋賀医科大学小児科学講座 講師 松井克之
勧奨再開と 9 価承認の要請:
行政は何もしなければ責任は問われないと思っているのでしょうか?エビデンスもないのに、感情面だけで勧奨接種を再開しなかったり、9 価ワクチンを導入しなかったりするのは「何もしない」という選択を「した」ということで将来にその責任が問われることになると思います。
一審敗訴と控訴審の社会的意義:
予備実験であって、さらにそのデータを受け取っただけであったとしても都合の良いデータだけを使って都合の良い結論でしゃべるというのは科学の世界では「結論の捏造」と言っても良い状態だと思います。さらに、専門性の高い問題については専門的な議論で解決すべきですが、言葉の定義の重箱をつっついて議論そのものを否定するやり方は科学者としては非難されるべきです。

■医療法人浅田レディースクリニック 理事長 浅田 義正
様々な理由で科学的・医学的判断が歪められ、日本は世界から取り残されています。この現状を是正し、被害を少しでも減らすため、政策も行動も変わらなければならないと感じています。微力ながら応援しています。よろしくお願いいたします。

■医療法人アップル理事長 木内敦夫
現代のジャンヌダルク
子宮頸がんワクチンの積極的接種勧奨停止でなすすべもなく悲嘆に暮れていた産婦人科医療界に村中璃子氏が登場したことを友人がジャンヌダルクのようだと表現していた。ジャンヌダルクは異端審問で処刑されてから 25 年後に復権されることになるが子宮頸がんワクチンをこのままの状態で日本だけが放置していいわけがない。厚労省も「定期接種を中止するほどリスクが高いと評価していない」と明言しているのだから。

■永野歯科医院 院長 永野伸一
真実は時がたてば、必ず解明されます。その時が来ることを信じて、前向きに行動して下さることを心から期待いたします。

■産科婦人科矢嶋医院 院長 矢嶋 元
子宮頸がんワクチン、積極的接種勧奨差し控えから 6 年が経ち、ワクチン接種をしていない世代の女性が結婚、妊娠、分娩を迎えるようになっています。妊娠時には子宮頚部細胞診をしますが、子宮頚癌が妊娠時に見つかることも希ではありません。この時には長野県では信州大学に送り帝王切開後に子宮摘出等をしています。また妊娠時に浸潤癌と上皮内病変 HSIL/CIN3 を区別がしにくい事もあり、診断の検査で大出血することも多く、このような方はやはり信州大学にまで紹介し MRI まで行うこともあります。このような症例を見るたびに、ワクチン接種をしていればおそらく防げるだろうと忸怩たる思いです。おそらく信州大学の良識ある先生方もそのようにお思いになっている事と思います。しかし、同大学の教授にはワクチンに反対する産婦人科の医師もおり良識を疑うところです。是非とも科学的な判断をして子宮頸がん予防を医師として目指してほしいものです。

■宇佐美歯科医院 院長 宇佐美 宏
このまま引き下がると真実が明らかにされないので、控訴されたことは正しいと思います。この控訴審が本質的な科学の問題に資する裁判となることを祈っています。心を折らずに最後まで戦っていけば、いずれ真実は明らかになると思います。共に頑張りましょう。

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