見出し画像

アストラゼネカも「有効性90%」緊急承認間近の新型コロナ3ワクチンを比較する

先ほど、英製薬大手アストラゼネカとオックスフォード大学、同大からのスピンアウトベンチャー、バクシテック(Vaccitech)が開発中の新型コロナワクチン候補「AZD1222」の中間解析結果が「有効性最大で90%」と発表された。

先週までに「95%の有効性」との発表のあった2つのワクチン、米ファイザーと独ビオンテックが開発中のワクチンと米モデルナと米保健省が開発中のワクチンと大きく違うのは、このワクチンが「ベクターワクチン」と呼ばれる、すでに開発実績のあるテクノロジーを用いたワクチンであることだ。

風邪ウイルスであるアデノウイルスに、新型コロナウイルスの遺伝子の一部を組み込みこんでヒトにわざと感染させることで、新型コロナウイルスに対する抗体を作らせる。アデノウイルスはチンパンジー由来で、増殖能は無効にしてあるのでヒトで発症することはない。

イギリスとブラジルで実施してきた治験中に131人の感染者が確認され、中間解析したところ、半量と全量のワクチンを最低1か月あけて2回接種したグループ(2741人)で90%の有効性が、その全量を最低1か月あけて2回接種したグループ(8895人)では62%の有効性が確認されたという。

リリースでは、2つの投与スケジュールを総合的に考え、「ワクチンの有効性は70%(11,636人)」と評価している。評価を行ったのは2回目の接種から14日の時点、すなわち初回接種から6週間の時点での評価だ。倍量のワクチンを接種したグループの人数が多いのは、恐らく、こちらの投与法の方が効き目が高いと踏んだからだろう。

このように通常のワクチンの治験は、何種類かの投与量や投与スケジュールで実施するのが普通だが、考えてみればファイザー・ビオンテックやアストラゼネカの治験では、1パターンの投与量の決め打ちでしか治験を実施していなかった。アストラゼネカは緊急承認申請をすぐに行うと言う。

覚えておきたいのは、ワクチンの「有効性」と「効果」の違いである。ファイザーらのワクチンの中間解析の発表があった際、NHKまでもが「90%超の効果」と報じていたが、これは誤りである。

「有効性」とは

ここから先は

1,570字

¥ 498

正しい情報発信を続けていかれるよう、購読・サポートで応援していただけると嬉しいです!