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メディアと政界にプラスしたい「理系目線」~熊谷俊人X村中璃子【対談】③

全6回でお届けしている熊谷俊人(千葉市長)との対談「新型コロナとワクチンから考えるリスクコミュニケーション」の3回目は、日本の政界とメディアにプラスしたい人材について。最近よく耳にするようになった「女性活躍」。でも、熊谷さんは、日本に本当に必要なのは理系の活用だとおっしゃいます。さて、では、文系女医のわたしはどうなる――?(本対談は「守れる命を守る」と「千葉県保険医協会」の共催で2020年11月17日に行われました)

村中: 海外でも日本の反子宮頸がんワクチン運動が飛び火して、デンマークやアイルランドなどでも同じような子宮頸がんワクチンに対するネガティブキャンペーンが生まれましたが、その時、政府が主導となって「反・反ワクチン運動キャンペーン」をしっかりやったんですね。その結果、がくっと落ちた接種率はかなり回復しました。それだけじゃない。さらなる政策として、接種の機会を逃した人に対するキャッチアップを実施したことにより、現在、接種率が見かけ上100%を超えている国もあるんです。

わたしは結局、政治が動けばすべてがちゃんと動くと思っています。ぜんぶメディアのせいだといったり、医学界がいけない、政府がいけないとぐるぐる責任を押し付け合っているような部分がありますが、「国民の命を守るワクチンを責任をもって接種していく」という当たり前の政治決断を、日本でやれなかった大きな理由は何でしょうか。

他の国ではもっとうまく導入できたし、反ワクチン運動が起きてもカウンター(対抗措置)をちゃんとやったのに、なぜこれが日本のような科学立国でできなかったのか。わたしは海外のメディアにいつも聞かれるし、なんど聞かれても答えられないのですが、何か答えがあったら教えてください。

熊谷: いや、これはわたしも知りたいですよね。裏であの時、国政がどういう意思決定をしたのか、まったくわからない。ただ、日本は政治家に理系が少ないです。わたしも文系だから偉そうには言えないですけど。中国であったり欧米に比べて、明らかに政治家の文系率が高い。そこはこの国の課題として国民に実感してほしい。いま女性を一生懸命当選させなきゃというのが国民の合意として何となく出始めていますが、それと同時に、わが国は理系の政治家を増やすという認識を持ったほうがいい。

村中: ロックダウン導入時の演説が日本でも高く評価されたドイツのアンゲラ・メルケル首相も、東ドイツ時代のベルリンの研究所で実際に研究を行っていた物理学者です。経済とのバランスを取り、民主主義を損なうことのないようにと必死で考えながらも、まずは国民の命を守るため、科学の視点から発言して政策を決めています。日本で、科学の視点が政治の中に反映されにくいのは、政治家の中に理系、つまり科学目線の人が非常に少ないからというのが理由の1つかもしれませんね。

熊谷: 大事なのはロジカル・シンキング(論理的思考)です。コロナが起きてわたしが一番意識したのは原発事故です。原発事故の後、放射能に過剰に怯え、何兆円という国民の税金が、本来命を救えるお金だったはずが、IAEA(国際原子力機関)の基準をはるかに超える厳しい基準をもとに実施した、行き過ぎた除染で消えてしまった。

このことについて、

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