条件付き「百薬の長」に復権?-アルコールの最新リスク評価
飲めるのに飲まない人が、若い年代を中心に全年代で増えていることについては先日のnoteでお伝えしました。理由の一つは、健康志向です。
少量なら百薬の長と言われてきたアルコールの評価が「少量でも有害」となったきっかけは、2018年、医学誌「ランセット」に掲載された論文でした。
195の国と地域で1990年から2016年にかけて「世界疾病負荷調査」で集めされたデータを分析したところ、「健康によいアルコール摂取量はゼロ」という結果が出たのです。
それまでは、赤ワインを飲む人は心血管の病気のリスクが低いとか、1日に1,2杯のアルコールなら体にいいなど、少量の飲酒や特定のアルコールを肯定する分析が主流でした。
2018年の論文でも、心疾患や糖尿病のリスクは少量の飲酒をする人たちで最小となっていたものの、乳がんや口腔がんなどのがんや結核のリスクは「飲酒量ゼロ」の人で最も低く、飲酒量に比例して上昇していたのです。
少量の酒でも「がんのリスクは上がる」と聞けば、やはり気分はよくないですよね!
こうした結果を受けた世界保健機関(WHO)も同年8月、「アルコールの適量はゼロ」とするレポートを発表。各国の保健当局も、飲酒によるがんのリスクは心血管系の病気へのベネフィットを相殺するものとして同様の注意勧告を始めました。
「ゼロが適量」から5年
さて、ここまでの話であれば、メディアで見たり人から聞いたりしてご存じの方も多いでしょう。しかし、この論文が出てから早5年。アルコールのリスク評価はまた変わってきています。
本日のnoteでは、アルコールをゼロにはできない人必読!最新のアルコールのリスク評価について解説します。
数字で確認しよう!少量のお酒の発がんリスク
米国立がん研究所によれば、多量の飲酒をする人の肝がんの発症率は、アルコールを飲まない人の2倍です。
たくさん飲めば体に悪いのは当たり前。問題は、少量や適量しか飲まない人のリスクです。
適量(350mlの缶ビールなら約1本)の飲酒による口腔がんの発症リスクは
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