日本はなぜ新型コロナワクチンの接種率を上げることに成功したのか

11月15日付の英「ガーディアン」に新型コロナワクチンについてのわたしのコメントが掲載されました。子宮頸がんワクチンの勧奨再開についても、地の文でコメントの直後に触れられています。

‘I was anxious at first’: how Covid helped vaccine-sceptic Japan overcome its hesitancy

日本の皆さまに向けて、該当部分を翻訳します。

「日本政府がオリンピックを開催すべきだと主張したことで人々は恐怖を感じたのでしょう」と語るのは京都大学大学院医学研究科非常勤講師の村中璃子氏だ。「オリンピックが無ければ今の接種率はなかったと思います」

「『後ろ向き』な要素もあります。ワクチンを接種すれば、周りにも自分はウイルスを広げる脅威ではないと言うことができるからといったこと、一種の社会的なエチケットとしての接種ですね。もちろん、自分自身を守ると言う意味もあります」

ワクチンに対する態度の変化は新型コロナワクチンに限ったものではない。先週金曜日、厚労省部会では、世界中で安全で効果があると認められている子宮頸がんワクチンのティーンエイジの女性に対する勧奨の再開が決まった。2013年、ワクチンの副反応だと主張されたセンセーショナルな報道の後、政府は推奨をとりやめた。接種率は70％から１％以下に低下していた。

（“The government was insisting that the Olympics would go ahead, and that made people fearful,” said Riko Muranaka, a lecturer at Kyoto University Graduate School of Medicine. “Japan wouldn’t be in the good position it is in now had it not been for the Olympics.

“There was also an element of ‘negativity’ in spurring people to get vaccinated. People decided they should have the vaccine so they could tell other people that they were not a threat. It was a social courtesy, and to protect themselves, of course.”

The shift in attitudes is not limited to the Covid-19 vaccine. A panel on Friday said the health ministry should resume actively recommending the HPV vaccine – which is universally recognised as safe and effective – to teenage girls. Japan withdrew the recommendation – but kept the vaccine available free of charge – in 2013 after sensationalist media reports of alleged severe side-effects.

Although no causal link between the vaccine and side-effects was established, the rate of HPV inoculation fell from 70% in 2013 to less than 1%.）

「ガーディアン」からの質問は、イギリスの研究グループが行った調査では日本の「反ワクチン度」は世界有数であるという評価が出ているが、それに反し「日本の新型コロナワクチンの接種率が高いのはなぜか？」というものでした。

こちらの図は[「ガーディアン」掲載の新型コロナワクチンの接種完了者の割合を示したグラフです。

ワクチンの導入そのものは遅かったものの現在、日本は世界有数のワクチン接種率を誇る国となっています。

しばしば、「ワクチン接種率が高いのにヨーロッパでは感染が広がっている」という声を耳にしますが、ヨーロッパの接種率は決して高くないことに注目してください。

次に、こちらの地図をご覧ください。