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結局、オリンピックは感染症を広げるのか?

フランスのパリでオリンピックが始まった。新型コロナパンデミックのため1年の開催延期となった東京2020オリンピック以来、3年ぶりとなる。アスリートや観客が世界中から集まるオリンピックは、ウイルスや細菌にとって感染拡大の絶好のチャンスだ。2016年のリオデジャネイロ・オリンピックでも、妊婦が感染すると生まれてくる子に小頭症が起きるジカ熱が現地で流行し、WHO(世界保健機関)は延期勧告を出した。

結局、リオデジャネイロは妊婦への渡航勧告が出ただけで、東京は開催延期もむなしく何度目かの新型コロナ流行ピークの最中に無観客で開催されたが、開催前はあれだけ大騒ぎだった専門家もメディアも、けっきょく流行が広がったのかどうかについてはほとんど話をしなかった。

そもそも、オリンピックなどの大規模スポーツイベントで感染症が拡大するという科学的証拠はあるのだろうか。

論文の検索は思いのほか難航した。

WHOや専門家がオリンピックやワールドカップの開催「前」に出した勧告や数理モデルに基づく予測はあっても、開催「後」に感染が拡大した事実を示すデータは何時間検索しても見つからないのだ。

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