子宮頸がん予防 HPV ワクチン接種の積極的勧奨再開に関する声明
「守れる命を守る会」が、2018年3月8日国際女性デーに出した2つの声明の1つをご紹介します。多くの方に読んでいただきたい大事な内容です。この声明はメディアでも広く報じられました。もう1つの声明「子宮頸がんから日本人女性の命と健康を守るための 科学的な言論活動を支援する声明」はこちらからどうぞ。
2013 年 6 月に日本政府から子宮頸がんを予防する HPV ワクチンの接種勧奨
の一時的差控えが出され、はや5年が経過しました。HPV ワクチンは現在でも定期接種(公費負担)ですが、70%を超えていた接種率は 1%以下となり、低迷したままです。
ワクチンの被害だとされる車いす姿や痙攣する女性の映像が広がったこと、そして、政府が「一時的」とした積極的勧奨差し控えを何年も続けているため、国民の間に「政府が HPV ワクチンの安全性に自信を持てないでいる」という誤解が広がっていることが主たる原因です。
厚生労働省が指定した有識者による副反応検討部会は、2013 年当時からHPVワクチン接種後に生じている様々な症状と HPV ワクチンとの因果関係は認められないとの評価をしています。また、名古屋スタディや厚生労働省祖父江班の研究など、日本人を対象とした大規模疫学調査の結果もその評価に間違いがないことを科学的に裏付けています。
HPV ワクチンは世界保健機構(WHO)も接種を推奨しており、その有効性・安全性に科学的議論の余地はありません。世界の市場に出て 12 年が経過し、各国から前がん病変や HPV 感染の減少が報告されています。一方わが国では、子宮頸がんが増加しています。特にワクチンで予防できる型の子宮頸がんは、20代から 40 代の子育て世代で増えています。毎年約 3,000 人が死亡しています。約 10,000 人が子宮頸癌の治療を受け、命は助かったものの術後の後遺症で不自由な生活を余儀なくされています。また、約 13,200 人が前がん状態のため円錐切除術を受けています。子宮は残存したものの、不妊、流早産のリスクにさらされています。
これは少子化克服を国是としている我が国にとって放置できない問題です。形式的には定期接種のままにはしているとは言え、将来、国民は安全で効果的な予防ワクチンに関する十分な情報提供を怠ったものとして、政府に不作為責任を問うこともあるでしょう。
世界が子宮頸がん撲滅に向けて動き始めたなか、日本人女性だけが「ワクチンを接種し、命と健康を守る権利」を失い続ける合理的な理由は見当たりません。守れる命を守る会は、厚生労働省に子宮頸がん予防 HPV ワクチン接種の積極的勧奨再開をすることを求めるとともに、引き続き国民に対し HPV ワクチンに関する正しい理解を促す活動を続けていくことを宣言します。
出典:子宮頸がん予防 HPV ワクチン接種の積極的勧奨再開に関する声明(「守れる命を守る会」ウェブサイトより)
関連記事:
●「HPVワクチン接種の積極的勧奨再開を」医師らが声明(3月8日、朝日新聞デジタル)
●「マザーキラー」と呼ばれる子宮頸がん。ワクチン接種の推奨を医師らが訴え(3月8日、ハフポスト日本版)
●子宮頸がん HPVワクチンの「積極的勧奨再開を」 医師有志ら、厚労省に要望(3月8日、東京新聞)
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