お腹の赤ちゃんに贈るワクチンー百日咳流行で妊婦接種のススメ。
2019年12月12日、加筆修正しました。
新学期を控え、百日咳が流行中だ。
(出典:東京都感染症情報センター)
ワクチンの効果が薄れたことが主な原因だ。
患者の中心は5歳から19歳の子ども。となると、いつもはワクチンを敬遠しているメディアが、思い出したかのように学童に追加接種呼びかけるのが目に浮かぶ。しかし、こと百日咳の場合、ワクチンが最優先されるのは妊婦だろう。
「妊娠中の女性にワクチンなんて打って大丈夫なの?」
子宮頸がんを防ぐHPVワクチンを中心に反ワクチン運動が盛んな日本では、こんな疑問を持つ人も少なくないに違いない。
しかも、ジフテリア、破傷風、百日咳を防ぐ三種混合ワクチンは、1970年代のアメリカにおける激しい反ワクチン運動の標的となっていた。
理由は「脳障害、けいれん、精神遅延などを引き起こすから」
日本で今、けいれんや脳障害を引き起こすというフェイクニュースの広がっているHPVワクチンの話ではない。当時まだ新しかった、ジフテリア、破傷風、百日咳を防ぐ三種混合ワクチンの話だ。もちろん、3種混合もHPVワクチンもそうした症状との因果関係はいっさい証明されていない。
「妊婦接種(Maternal Immunization)」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
妊婦接種は、母体から胎児へと抗体(病原体から体を守る免疫)が移行する仕組みを利用して、積極的に妊婦にワクチンを接種することだ。
感染症にかかれば重症化しやすい妊婦と、同じく重唱しやすいがワクチンを接種しても十分に免疫応答がない乳児の両方を同時に守ることのできる効率のよい方法として、積極的に取り入れている国も多い。
妊婦接種が行われる代表的なワクチンは2つ。
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