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クロアチアの市場でウィンナー・コーヒーが飲まれている訳
エスプレッソに生クリームがトッピングされたウィンナー・コーヒーを本場オーストリアの首都ウィーン、ではなくクロアチアの港町シベニクの市場で飲んだ。
クロアチアの市場にはどこでもカフェがあり、地元の人たちの交流や生存確認の場所となっている。利用者は特に男性が多く、朝早くからコーヒー、時どき、ビールなどのアルコールも飲んでいる。
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シベニクの市場にも男性や家族連れ(父親と娘、3世代といった組み合わせも多い)でにぎわっているカフェがあったので入ると、おじさん2人が表面の白っぽいコーヒーを飲んでいた。「それは何ですか?」と尋ねると、勝手に注文してくれたようで、わたしのところにも同じものが運ばれてきた。日本でいうウインナー・コーヒーだった。
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ヨーロッパへのコーヒー伝来は17世紀初、地中海貿易を牛耳っていたイタリアはヴェネツィアの商人によるものとも、1683年、オスマントルコによる「第2次ウィーン包囲」によるものとも言われているが、クロアチアのウィンナー・コーヒーの来歴までは想像がつかない。
そもそも、バルカン半島の歴史はややこしくて何度調べてもよく分からない。ただ、シベニクのあるクロアチア・ダルマチア地方は、トルコにもヴェネチアにも支配され、ハンガリー・オーストリア帝国にも支配されたことがあるということだけはうっすら頭に残っていた。
トルコでは生クリームを浮かべたコーヒーは飲まない。一方、クロアチアでは、エスプレッソもあるが、フィルターを通さずコーヒの粉を沈殿させて飲む「トルココーヒー」も広く飲まれている。宿泊した民泊にも、トルココーヒーを淹れるための小さな手持ち鍋とトルココーヒーの粉が置かれていた。
では、ウインナー・コーヒーはどこからどうやってダルマチアまでやって来たのかーー。
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