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揺れる、12歳以上の子どもの新型コロナワクチン接種

子どもの新型コロナワクチン接種について、最近たくさんの質問をもらいます。「子ども」と言っても新型コロナワクチンを接種できる中高生のお子さんをもつ方から、接種の承認されていない小学生以下のお子さんをもつ方まで心配や疑問はさまざまです。

8月10日現在、アメリカCDCは、ワクチン接種のベネフィットは心筋炎や心膜炎など副反応のリスクを上回るとして12歳以上の子どもにも米ファイザー・独バイオンテック製新型コロナワクチンの接種を承認・推奨しています。欧州当局(EMA)も、同ワクチンの12歳以上の子どもへの接種を承認・推奨するとしています。アメリカやヨーロッパでは、5歳から11歳の子どもでの接種も間もなく承認されるとの報道です。

日本でも新型コロナワクチンは12歳以上の子どもへの接種が認められていますが、12歳以上の子ども全員に接種が推奨されているわけではないことをご存知でしょうか。実は、わたしの暮らすドイツでも同じ状況です。

意外に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ワクチンの承認と推奨は別です

今日はこの辺りについても分かりやすく説明しつつ、子どもの新型コロナワクチン接種について具体的に検討したいと思います。

新型コロナワクチンの「承認」と「推奨」が混同されやすい理由

ワクチンの「承認」とは、治験で効果と安全性が確認されたワクチンの、特定の年齢や性別などの対象群において使用が認められることです。

一方、「推奨」とは、承認後に、接種のベネフィットのある人たちに対して行われるものです。

分かりやすい例をあげると、致死率20~50%とされる黄熱病のワクチンは、稀だが重篤な副反応もあるものの、生後9か月以上なら赤ちゃんでも接種できます。しかし、日本で感染するリスクはほぼゼロですので、接種の承認された人全員ではなく、アフリカなど流行地に渡航する人だけに推奨されています。

ところが、新型コロナワクチンでは、この承認と推奨が混同されてしまうような、ややこしい状況が生じています。

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