中国とWHO、蜜月の終わりに―「バイデン報告書」発表までの3か月
米国現地時間の8月24日で、米バイデン大統領が米諜報機関にウイルスの起源について独自調査を行い、90日以内に報告書をまとめるようと命じたとの声明を発表してからちょうど90日になる。
世界保健機関(WHO)が武漢ウイルス研究所(WIV)からのウイルス漏洩説を強く否定する報告書を発表した今年3月、大統領に就任したばかりのバイデン氏は米諜報機関にウイルスの起源の独自調査を依頼した。しかし、受け取った報告は結論に達しておらず、中国に問うべき「具体的疑問点」を含めて90日以内にもう一度報告するよう求めた。
その期限が今日だ。
日本の8月24日を終わろうとしている今、アメリカのワシントンD.C.は朝の9時。ホワイトハウスの会見ライブのリンクを覗くと、現段階では会見は予定されていないようだ。
https://www.whitehouse.gov/live/
陰謀論として一蹴されていた「研究所流出説」が本格的に再燃したのはその後、5月に入ってからのことだった。英国人ジャーナリスト、ニコラス・ウェイド氏が「新型コロナウイルスの起源:武漢でパンドラの箱を開けたのはヒトなのか自然なのか?」を発表したのを皮切りに、米「ウォール・ストリートジャーナル」紙などの米メディアが同説を支持する記事を立て続けに発表した。
とはいえ、注意したいのはどの記事にもこれと言って新しく発掘されたファクトはなかったことだ。その後、日本のメディアでもことあるごとに研究所漏洩説が確定したかのような記事が発表されているが、そのような事実はなかった。
「バイデン報告書」については8月12日、関係者から米CNNへのリークがあり、ハッキングしたデータの解析まで実施したが、確たる結論に至る「世界を揺るがすような新ファクト」は見つかっていないことが伝えられていた。その1週間前の8月5日には同じくCNNに、米諜報局は遺伝子情報を含む大量のデータを入手し、解析結果によってはウイルスの起源の究明が大きく前進する可能性もあると報じられていただけに残念な話であった。
もちろん、最終的な報告書がどんなトーンになるのかは別の話であり、大事な話でもある。ウイルスの起源に一歩でも近づく内容であればよいが、中国をさらに硬化させ、ウイルスの起源をさらに人類から遠ざける可能性もあるからだ。
しかし、報告書の内容やトーン以上に注目すべきは、バイデン氏の独自調査の声明が発表された5月26日から今日に至るまでの3か月間に明らかとなった「中国とWHOの蜜月の終わり」だ。WHOを舞台にいま何が起きているのか。
アメリカも情報開示しない「米陸軍感染症医学研究所」からの漏洩説
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