チョコレートから考える技術革新
ドイツではバレンタインデーとチョコレートはほとんど関係がなく、クリスマス、カーニバル、イースターと冬から春にかけての大イベントで大量のチョコレートを食べます。
2023年は4月9日の日曜日がイースター(復活祭)です。イースターは、写真にあるようなウサギの形のチョコレートや卵の形をしたチョコレートを買ったり贈ったり探したりする楽しい日です。
ドイツ人ひとり当たりのチョコレート消費量は年間約8キロ。統計や年にもよりますが、ドイツは毎年、世界ランキング1位から4位の間を行き来しています。
一方、日本人1人当たりの消費量は年間2キロ、世界ランキングでいえば30位ほどですが「世界の主なチョコレートメーカー」のリストには、いつも森永やグリコが入っており、日本人がチョコレートに無縁という訳ではもちろんありません。日本人のチョコレート消費量が少ないのは、きっと、日本にはチョコレート以外もおいしい食べ物がいろいろとあるためでしょう。
戦争と技術革新
「チョコレート」と聞いて思い出すのは、アナスタシア・マークス・デ・サルセド著『戦争がつくった現代の食卓 軍と加工食品の知られざる関係』です。
フードライターだという著者のサルセド氏は、日頃から食べ物には気を配り、手作りの食事を心掛けています。
しかし、ある日、スーパーで売られているビニール包装のパンやビスケットからプロセスチーズまで「手作り」の料理の材料としているものの多くが、そもそも加工済みであることに気づきます。
それだけではありません。加工食品の多くは栄養面や衛生面でも生鮮食品より優れていることを知り、愕然とします。
加工食品は、なぜそんなにも栄養価が高く衛生的なのでしょうか。
調査を進める中でサルセド氏は、ありふれた加工食品の多くが、アメリカ政府が企業や研究所に、巨額の”軍事費”を投じて研究開発を進めたことの結果として生まれた技術革新の賜物であることをつきとめます。
キスチョコで有名なハーシー社の知られざる過去
たとえば、チョコレート。
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