「ウイルス研究所漏洩説」をめぐる機密文書の公開が相次いでいる2つの理由
新型コロナウイルスの武漢ウイルス研究所漏出説を支持する機密文書の公開が相次いでいます。
5月23日、米大手新聞「ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)」は未公開の機密文書を入手し、2019年秋、武漢ウイルス研究所(WIV)の所員3名が風邪症状を示して受診もしていたことが分かったと報じました。
5月30日、65万部とイギリスでは最大の発行部数を誇る日曜紙「サンデー・タイムズ」は、イギリスを含む欧米の諜報機関は当初「ごくわずか」と判断していた武漢ウイルス研究所からの漏出の可能性について「可能性がある」に評価を改めたと報じました。
6月7日、WSJは、米政府の研究機関ローレンス・リバモア研究所が機密扱いの報告書の中で「新型コロナウイルスの起源について武漢の研究所からの流出説には説得力があり、さらなる調査が必要だと結論付けていた」と報じました。
●驚くほどお粗末な諜報活動
一連の報道を耳にした皆さんの中には、ここへ来て研究所漏出説を裏付ける証拠が次々と固まってきているものと思われている方もいるかもしれません。
しかし、これらの「機密扱い」の文書や情報には、まったくと言っていいほど新しい情報や重要な情報は含まれていません。
この間出てきた新しい情報と言えば、「2019年10月、武漢ウイルス研究所で風邪を引いていた人の数は3人だった」という情報だけです。
スパイ映画からイメージするアメリカの「諜報活動」の成果としては何とお粗末なのでしょうか!
これは、世界中が自国の新型コロナ対策に追われる中、新型コロナウイルスをめぐる中国政府の情報統制は完璧と言っていいほど成功しており、アメリカやイギリスの諜報活動はうまくいっていなかったことを示しています。
ではなぜ今、機密扱いだというだけでニュース的な価値をもたない情報をメディアが入手し、次々と報道されているのでしょうか。なぜ研究所漏出説に再び注目が集まっているのでしょうか。
背景には、2つの次元の異なる政治的対立軸があります。
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