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気になる、それぞれの新型コロナワクチンの「値段と安全性」

新型コロナワクチンの第2/3相臨床試験の「有効性」に関する中間解析が続々と発表されています。一番のりで発表した米ファイザー+独ビオンテックに始まり、米モデルナ+米保健省、ロシアの「スプートニクV」、英アストラゼネカ+オックスフォード大学と現在までの4つのワクチンの効果(有効性)に関する中間解析が発表されていますは、今日はこれら4つのワクチンの「値段と安全性」を比較します。

前回の記事で、米ファイザー+独ビオンテックや米モデルナ+米保健省のワクチンが「有効性95%」との中間解析を発表するなか、「有効性70%」と発表した英アストラゼネカ+オックスフォード大学のワクチンについて、複数の投与量での治験を行うなど通常の治験のプロセスを踏んでいるとことに好感が持てる、半量を投与したグループでは有効性90%ととの評価も出ていることから同程度の期待ができるという趣旨の記事を書きました。

しかし、この記事を書いた翌日、アストラゼネカは、ふたつの投与量での治験データがあるのは意図的なものではなかったことを明らかにしました。

治験の第2段階である臨床第2相試験は別名「最適な投与量を見つけるための治験(dose-finding study)」とも呼ばれ、通常は、複数の異なる投与量のグループを作って実施し、ワクチンの有効性と安全性の両方を観察するために行います。

高用量(多い有効成分)で効果が高くても強い副反応があればその投与量はNGだし、低用量(少ない有効成分)であれば大した副反応が見られなくても有効性が確認されなければそれもNGだからです。医薬薬は、安全で効果のある投与量がわかってこそ薬としての実用性をもち、その投与量をもってさらに多くの人の間で効果と安全性を確認する第3相試験を経て、初めて世に出すことができるのです。

アストラゼネカの「投与量の違う2つのグループについての中間解析」のリリースを読んだ筆者は、アストラゼネカだけがこの「最適な投与量を見つけるための治験(dose-finding study)」を実行したのだ、さすが名門オックスフォード大学がバックにいることもありアストラゼネカはちゃんとしている、と考えました。

ところが、翌日になって明らかになったのは、

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