「1分で曲を作れと言われたら1分で作るのがプロ」というアーチストの話~熊谷俊人X村中璃子【対談】⑤
全6回でお届けしている熊谷俊人(千葉市長)との対談「新型コロナとワクチンから考えるリスクコミュニケーション」の5回目のテーマは、ズバリ「プロフェッショナルとは何か」。専門性と知識があるだけではプロとは言えない、その先にある真のプロフェッショナリズムとは――!?すべての職業の人に読んで欲しい、プロフェッショナル論です!
村中:実はいま、ロンドン大学で「ワクチンに対するの信頼性」を研究しているグループが呼びかけている企画があります。ちょうど今週から、わたしの勤めているドイツの研究所も治験を手伝っている新型コロナ・ワクチンのニュースがたくさん出はじめしたが、みんなにワクチンをどうやって打ってもらおうかということに関して、アカデミアのネットワークで、ツイッターやフェイスブックなんかのSNSで積極的に情報提供していこうという呼びかけです。協力してくれる研究者、研究所はどんどん名乗りを挙げてください、みんなで一緒にやっていきましょう、と。研究者や研究所だけじゃなくて、BBCをはじめメディアにも入ってもらい、SNSでも一般メディアでも啓発的な情報を出しておこうと呼びかけられています。
ワクチンの安全性も効果もまだはっきりとは分からない中、ワクチンの推奨ありきのこの企画について疑問が残る部分はありますが、個々人が勝手に発信するだけではなく、信頼できるネットワーク、アカデミアだけでなく、信頼できるメディアや政治家などネットワークを作り、もっと横のつながりを強化することで、抜いた抜かれたではない情報提供もできるのかなと思ったりもします。
熊谷:重要なのは、わかりやすく、面白いということですね。わたしがここ5~6年ずっと言っているのは、中庸、真ん中、平均的でバランスがいいものは一番面白くないということです。面白いアカウントでなければ届かない。専門家でも、たまには面白い話をするエンターテイメント要素があるアカウントで発信をしないと届かないと思っています。わたしがSNSとかをやるときに意識しているのは、面白さやエンターテイメント要素です。伝えたいものが本当にある人こそ、そのアカウントを面白くしなければいけない。
村中:ただ、面白さだけを狙って極端になっていくアカウントもたくさんありますよね。
熊谷:そう、それはもう面白さが目的となってしまっているので、これはダメなケースですよ。面白さは何のためにあるかというと、まじめなことを多くの人に伝えるという、大きな大きな目的があるから。そのために面白さを追求するということが大事なんです。正しい事を伝えるために、熊谷さんがいっているんだからよく読もうというように思ってもらえるように、面白いこともたまに入れる。そういうことも、プロとしての責任だと思っています。
村中: コロナの専門家委員会もツイッターアカウントを持ち、noteでも発信してきましたが、あれは面白い発信でしたか?
熊谷: 面白くはないですよね……。
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