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言語感覚が小学二年生の男が教える「声に出して読みたい日本語」講座

この世には、「声に出して読みたい日本語」というものがある。

ぬ~べ~みたいな始まり方をしましたが、こちらはオカルト教師ではなくバーチャル理科教師です。初めまして。

この記事では同タイトルの斎藤孝先生の文学解説書ではなく、文字通り「声に出して読みたい日本語」(というか単語)について、言語感覚が小学二年生の男ことワタクシが前頭葉直結タイピングで書き散らかしていく。

人は誰しも生きていれば、「声に出して読みたい日本語」というものに出会う。それが何かと問われれば、100人中98人は「墾田永年私財法」と答えるであろう。そして残り2人は「禁中並公家諸法度」と答える。これが世界の理である。

これらの言葉は誰しもが知っている言葉でありながら、中学以降の人生で使用する回数が上野動物園のパンダよりも少ないというのだから驚きだ。全国の中学生はこの言葉を使用する貴重な機会を逃すまいと、日々土地を開墾しているという。

とはいえ、「声に出して読みたい日本語」は意外と人それぞれである。ほとんどの人にとって「墾田永年私財法」は表向きの答え、すなわち「捨て墾田」であり、本来声に出したい言葉は心の奥底に仕舞われているのである。声に出したい言葉はその人の人生を映す鏡と言ってもいい。これを読んでいる方にも「声に出して読みたい日本語」があるはずである。

「近松門左衛門」「部分分数分解」「アイネクライネナハトムジーク」「王政復古の大号令」「スリジャヤワルダナプラコッテ」「罪刑法定主義」「東海道中膝栗毛」「等速直線運動」「スマホを落としただけなのに」「三井住友VISAカード」etc etc...

人によっては、シンプルに「うんち」「おっぱい」「キンタマ」ということもあるだろう。そんな人生もいいと思う。事実私は友人との通話中に暇を持て余すたび「うーんちうんち、うんちうんちうーんち、…」とリズムを取り始める。友人たちももはや慣れっこでスルーかと思いきや、意外にも初披露のタイミングから無反応であった。それほどうんちという単語は万人にとって日常的な代物であるに違いない。

しかしこうして見てみると、学生時代に習った言葉というのは比較的印象に残りやすいのかもしれない。私は学生時代に物理を専攻していたので、「生成消滅演算子」「チャンドラセカール限界」「ライデンフロスト現象」「フラウンホーファー回折」「ゾンマーフェルトの量子化条件」など、合コンでドヤ顔で披露した日には「頭良いんだね^^;」とまばらな喝采を浴びるような単語がポンポンと出てくる。合コンに行ったことはないが恐らく学会と似たようなものだろう。

しかし私にとっての「声に出して読みたい日本語」はそんな学術用語にはない。「声に出して読みたい日本語」とはもっと直感的な代物であり、小難しい単語を口に出してニヤつくのは単語そのものではなく単語の背景が副次的にそうさせるに過ぎない。「スラスラと難しいこと言えちゃう俺、カッケー」と同様のことである。よくよく考えれば「フラウンホーファー」なんて日本語で発音しても入れ歯を紛失した老人とのイマイチ噛み合わない会話にしか聞こえず、カッコ良くも何ともないのである。

声に出して読みたい日本語は日常に溢れている。学術の世界から拾ってきた人類の叡智の欠片や、中高生の頃に一生懸命覚えた受験単語の残滓でなくとも、生きている中で心地良く感じる語感というものは日常に溶け込んでいるのである。

そんな私の声に出したいと思える日本語は、



ズバリ「ドラゴンクロー」である。

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「ドラゴンクロー」「ドラゴンクロー」。なんてカッコ良い響きだろうか。

しかもこれはただの「ドラゴンクロー」ではない、ボーマンダの「ドラゴンクロー」だ。

私は隙あらば空想のボーマンダに「ドラゴンクロー」を指示してしまう。特にこれといって何かを攻撃したり、破壊しようというのではない。ただ言いたいから「ドラゴンクロー」を指示するのである。

しかもアニメのように「ボーマンダ、ドラゴンクロー!」と叫ぶのではない。ボソッと、言っているかいないかくらいの声で「ドラゴンクロー...」とつぶやくのである。というか8割方言っていない。ただ脳内で「ドラゴンクロー」と発音する、これの何と気持ちいいことか。これだけで炎の渦をまとったボーマンダが相手を切り裂くエフェクトが見える。

私は「ドラゴンクロー」とともに15年以上を過ごしてきた。家を出るときに「ドラゴンクロー」、すれ違いざまに「ドラゴンクロー」、トイレでも「ドラゴンクロー」、入れ歯をなくした祖母に「ドラゴンクロー」、万感の「ドラゴンクロー」

いつしか私の生活には「ドラゴンクロー」が欠かせないものとなっていた。

しかし近年、「ドラゴンクロー」をも凌ぐPower Wordが私の前に現れた。ボーマンダを越える存在感を持つその単語は、




「クラッシュブラスターネオ」である。

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「ドラゴン+クロー」という最強と思われた単語の組み合わせを、いとも簡単に破壊し越えてきた「クラッシュブラスターネオ」。「クラッシュ+ブラスター+ネオ」である。こんな「ハンバーグオムライスカレー」みたいな単語があっていいのだろうか。

今では気を抜くと頭の中で「クラッシュブラスターネオ」がループ再生される。それはもう爆風を撒き散らしながらやりたい放題連射してくる。クラッシュブラスターネオクラッシュブラスターネオクラッシュブラスターネオスクリュースロッシャーベッチュークラッシュブラスターネオクラッシュブラスターネオクラッシュブラスターネオクラッシュブラスターネオブルーアイズアルティメットドラゴンクラッシュブラスターネオクラッシュブラスターネオクラッシュブラスターネオ……

私の日中の脳内はこんな感じである。それでも「クラッシュブラスターネオ」の爆風の中から、時折「ドラゴンクロー」が顔を覗かせることもある。それはさながら幼い妹ができた兄のようで、どことなくボーマンダに申し訳ない気持ちになってしまう。

そんなわけで、これが私の「声に出して読みたい日本語」だ。「日本語じゃなくない?」というツッコミを入れた人は即刻SOUL'd OUTを聞いてくるように。日本語という枠組みを問うことが如何に些末な問題かわかるだろう。

皆さんの「声に出して読みたい日本語」は何ですか?

日付が変わるのでもう寝ます。おやすみなさい。クラッシュブラスターネオ。

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