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エイジフレンドリーガイドラインとは?

こんにちは、りこ@産業医兼労働衛生コンサルタントです。
今回は、厚生労働省が令和2年3月16日「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(通称;エイジフレンドリーガイドライン)」を公表しており、このガイドラインに沿って書いていこうと思います。その前に、高年齢者雇用についても書こうと思います。

高年齢者雇用安定法

高年齢者雇用安定法はご存知でしょうか?
高年齢者雇用安定法改正が令和3年4月1日施行されます。その概要については、こちらをご参照いただき、その内容のポイントを書いていきます。
高年齢者雇用安定法は、少子高齢化が急速に進行し人口が減少する中で、働く意欲がある誰もが年齢に関係なく能力を十分に発揮できるように、高年齢者が活躍できる環境整備を図るための法律です。

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この図は、厚生労働省パンフレット簡易版:高年齢者雇用安定法改正の概要から引用しました。これまでの高年齢者雇用安定法で65歳までの雇用確保が義務づけられています。具体的には 60歳未満の定年禁止 (高年齢者雇用安定法第8条)で、定年を定める場合は60歳以上と義務付けられ、また、65歳までの雇用確保措置 (高年齢者雇用安定法第9条)として、定年を65歳未満に定めている事業主は高年齢者雇用確保措置(65歳までの定年引き上げ、もしくは定年制の廃止、もしくは65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度等)を導入)を講じることも義務付けられています。継続雇用制度の適用者は原則として「希望者全員」となっています。

今回の改正では、上記に加えて、70歳までの就業機会の確保が努力義務として新設されました。65歳から70歳までの就業機会を確保するため、高年齢者就業確保措置として、以下のいずれかの措置を講ずるよう努力することとなっています。
①70歳までの定年引き上げ
②定年制の廃止
③70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入(特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む)
④70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
⑤70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
 a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
    b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業
これまでと同様、継続雇用制度の適用者は原則として「希望者全員」となっています。

上記④と⑤は「創業支援等措置」であり、雇用によらない措置となります。この場合には計画を作成し、過半数労働組合等の同意を得て、計画を周知すること、と規定されています。

再就職援助措置とは、解雇等により離職する高年齢者等には、(1)求職活動に対する経済的支援(2)再就職や教育訓練受講等のあっせん(3)再就職支援体制の構築などの再就職援助措置を講じることが努力義務となっています。
多数離職届とは、同一の事業所において、1か月以内に5人以上の高年齢者等が解雇等により離職する場合は、離職者数や当該高年齢者等に関する情報等をハローワークに届け出る義務があります。

また、解雇等により離職することとなっている高年齢者等が希望するときは、 「求職活動支援書」を作成し、本人に交付する義務があります。求職活動支援書に記載する事項とは、氏名・年齢・性別や離職することとなる日もしくは時期、職務の経歴、有する資格・免許・受講した講習や有する技能・知識・その他の職業能力に関する事項等です。

高年齢者の就業の現状

高年齢者等職業安定対策基本方針(令和2年厚生労働省告示第350号)全文から引用します。

1 人口及び労働力人口の高齢化
我が国の人口は、世界でも例を見ない急速な少子高齢化が進行しており、平成27年(2015年) から令和22年(2040年)までの25年間においては、15~59歳の者が約1,693万人減少するのに対し、60歳以上の高年齢者が約477万人増加し、2.4人に1人が60歳以上の高年齢者となるものと見込まれる。
また、60歳以上の労働力人口は令和元年で約1,450万人であり(中略)平成29年(2017年) と労働力率が同じ水準であるとすれば、平成29年(2017年)から令和22年(2040年)までの23年間においては、60~69歳の労働力人口は24万人減少し、70歳以上の労働力人口は26万人増加すると見込まれる。

2 高年齢者の雇用・就業の状況
(中略)60~64歳層の就業率は、平成24年に57.7%、令和元年に70.3%となっている。これを男女別に見ると、男性は、平成24年に71.3%、令和元年に82.3%となっている。また、女性は、平成24年に44.5%、令和元年に58.6%となっており、近年高まっている(総務省統計局「労働力調査」) 。また、常用労働者が31人以上の企業における60~64歳層の常用労働者数は、平成24年の約196 万人から、令和元年の約215万人に増加している(厚生労働省「高年齢者雇用状況報告」)。
65~69歳層の就業率は、平成24年に37.1%、令和元年に48.4%となっている。これを男女別に見ると、男性は、平成24年に46.9%、令和元年に58.9%、女性は、平成24年に27.8%、令和元年 に38.6%となっており、近年高まっている(総務省統計局「労働力調査」)。

上記からもわかるように、60歳以上の就業率は確実に上昇し、男女ともに増えています。今後急速な少子高齢化に伴い、ますます高年齢者の雇用と健康保持増進がとても重要となってくることがよくわかります。

高年齢者の労働災害

下記の図からもわかるように、労働災害による休業4日以上の死傷者数のうち、60歳以上の労働者の占める割合が増加傾向にあり、平成30年では26.1%でした。労働者千人あたりの労働災害件数でも、男女ともに若年層に比べて高年層で相対的に高くなっています。このことからも高年齢労働者が安心、安全に働ける職場環境の整備が重要であることがわかります。下記の図はこちらから引用しました。

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エイジフレンドリーガイドライン

前置きが長くなりましたが、これから本題のエイジフレンドリーガイドラインについて書いていこうと思います。

このガイドラインでは、事業者と労働者に求められる取り組みを具体的に示してあります。まず、事業者に求められる取り組みについてです。

事業者は、高年齢労働者の就労状況や業務の内容など各事業場の実情に応じて、法令で義務付けられているものに加えて実施可能な高齢者労働災害防止対策に積極的に取り組むように努めることが求められています。

労働者には、生涯にわたり健康で活躍できるようにするために、事業者が実施する労働災害防止対策の取り組みに協力することとともに、自己の健康を守るための努力の重要性を理解し、自らの健康づくりに積極的に取り組むように努力することが求められています。

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上記は、厚生労働省 高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドラインから引用しました。リスクアセスメントを実施し、身体機能低下を補うような照度の確保や段差の解消などハード面の整備に加えて、勤務形態の工夫やゆとりのある作業スピードなど、高年齢労働者の特性を考慮した対策の実施を求めていることがわかります。この「エイジフレンドリー」という言葉は「高齢者の特性を考慮した」を意味する言葉です。また厚生労働省では、エイジフレンドリー補助金などの各種支援により、職場環境づくりを推進していくとしています。

エイジフレンドリーガイドラインについては「労働衛生のしおり(令和2年度)」中央労働災害防止協会 の本の中で、43、91、352ページに詳しく載っていますのでご参照ください。

以上になります。またまた長文となってしまいましたが、高年齢労働者の雇用、健康保持増進に関しては今後必須の対策となると思われますので、ぜひご参考になさってください。

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