江戸川区で"最後まで自宅で過ごす"に寄り添う。しろひげ在宅診療所院長山中光茂さんインタビュー
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今回は、しろひげ在宅診療所院長の山中光茂さんへインタビューをしました。
しろひげ在宅診療所は、2018年に開設し江戸川区に特化した在宅サービスを展開されています。
これまで、お医者様として約1000件以上のお看取りをされ、現在180名の社員を束ねて医療サービスを提供されている山中さん。
本記事では、山中さんのこれまでのご経歴や、診療所の成り立ち、今後の展望について聞いた内容をまとめました。
ぜひ最後までご覧ください。
ー本日はよろしくお願いします!まずは山中さんのこれまでのご経歴と、しろひげ在宅診療所の立ち上げまでの経緯を聞かせてください。
慶応義塾大学法学部法律学科を卒業して、群馬大学医学部医学科を卒業し、医師としてのキャリアをスタートさせました。
その後は、アフリカでの医療支援活動をしたり、ケニアでHIV罹患率の高い地域での巡回医療とHIV孤児支援プロジェクトを立ち上げたりなど、海外での活動もしていました。
その時に、病気の有無に関わらずいかに毎日を"普通に生きること"が大変で尊いことなのかということに気づされました。
2009年に、当時全国最年少で松阪市長に就任し、2期7年務めました。
そして、2018年10月に「しろひげ在宅診療所」を開設しました。
現在診療所では、毎月50〜70名の新しい患者のご紹介を受けて、末期癌の方から認知症、引きこもりの方まで幅広く対応をしています。
在宅医療の領域については、四日市市「いしが在宅ケアクリニック」に務めていた際に、石賀丈士先生のもとで在宅医療について学び、さらに他のクリニックで院長を務める経験を積んできました。
そして、当時同じクリニックに勤めていた仲間とともに、新たに在宅診療所を立ち上げることになり、今の「しろひげ在宅診療所」があります。
ー海外のフィールドや、市長など、「医者」の肩書にとらわれず幅広くご活躍されてこられたのですね。
在宅領域を一貫してやってこられているようですが、在宅にこだわる理由は、何かあるのでしょうか。
大きく分けて理由は2つあります。
一つは、「最後まで家で過ごしたい」という希望を持っている人が多く、それを叶えたいということ。
もう一つは、国全体の在宅看取り率が20年以上変わらずに低迷し続けており、その現状を先駆けて変えていきたいという思いがあるからです。
私自身の根本には、「自分がやりたいこと」よりも患者が求めていること、やってもらったら嬉しいこと、に対して応えていきたいという思いが強くあります。
今や全体の約6割の方が最後まで家で過ごしたい、という思いを持っているにも関わらず、日本の病院看取り率は世界で一番高いと言われており、在宅看取り率は15%程度と非常に低いのです。
在宅診療所の数はとても多いのに、在宅看取り率は長年改善していません。
この要因として、私は在宅診療所の質に問題があると感じています。
診療報酬の高さに惹かれて、覚悟と使命感がないままに開業した「なんちゃって在宅診療所」が非常に多いのです。
24時間体制を真面目にやらない、重症度の高い患者に対応できない、など「看取りができる在宅医療の環境づくり」が進んでいない診療所のことです。
例えば、往診を片手間にこなして夜間は電話対応のみ。
そもそも緊急往診はする気がなく、実際にはできないのにも関わらず、24時間体制を前提とした高額の月々の管理料を患者からとっているケースなどがそれに当たります。
そのような「なんちゃって在宅診療所」が、さらにフランチャイズ化をしたり、パートや非常勤の医師などを活用することで、業界全体の品質が低迷していると私は考えています。
だからこそ、私たちは24時間365日いつでも対応し寄り添い続ける医療を一番大事にしています。
私たちの診療所にはスタッフも含めて全員常勤で、パートや非常勤の医師は一人もいません。
夜間も常勤のドクターが担当し、責任を持って一人の人を最後までみる、そんな在宅診療所を体現し続けています。
ーその誠実な姿勢が、地域からの評価にも繋がっているのですね。事業自体は、江戸川区に限定して展開をされていると思いますが、エリアを限定されているご理由は何でしょうか。
実は私自身、三重県出身ですし、江戸川区には縁もゆかりもないんです。
ただ、元々「どこかのエリアに特化して在宅診療をしたい」という思いは強くありました。
手広く色々な地域でやるよりも、どこかの地域に限定して日本に先駆けた在宅診療のモデル地域に育てたい、そしてそのモデルを他の地域にも広げていきたいと思っていました。
江戸川区は東京都市ではありますが、地方都市の香りがするところや、地域の在宅診療がまだ成熟しておらず私たちが介入する価値を感じました。
私たちが関わることで、その地域の在宅看取り率を上げることを理想だと置いた時に、前職のクリニックがあった江戸川区は当時の私にとって最適なエリアでした。
江戸川区で2018年に診療所を開設して丸6年が経ちますが、おかげさまで1事業所の実績としては、日本で一番大きな診療所として成長することができました。
ー後にも先にも一つの地域に限定して事業展開をしていく、というケースは私自身も初めて聞き驚きましたが、確かに信用度がまるで違うとお話を伺って思いました。では最後に山中さんの今後の展望をお聞かせください。
これまでお話ししてきたように、今後も一貫して「最後まで自宅で暮らせる」人を増やすために活動をしていきますし、そのために在宅診療にまつわる事業のみに取り組んでいきます。
私たちは病院と同じことを在宅でも当然のようにサポートできるとともに、病院以上に患者の思いに寄り添い、専門的な医療技術、そして患者に継続して向き合える医療体制を妥協せずに育てていきます。
そして、江戸川区を中心に限定することで、江戸川地区を一つの「安心して看取りができるモデル地域」にし、それが他の地域にも広がるようなきっかけを作りたいと思っています。
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以上、しろひげ在宅診療所院長山中光茂さんへのインタビューでした。
医療法人しろひげファミリーでは他にも多数の事業を展開されていますので、詳しくは下記のサイトから見てみてくださいね。
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