素人が0からホスピス開業に挑戦!?4ヶ月でしてきた6つの行動と立ち上げのリアル
「ホスピス施設を立ち上げる」と決意を固めてから約4ヶ月が経過しました。
この4ヶ月間で私が学んだことや、業界の情報はこのnoteで投稿してきましたが、事業立ち上げ初期の、今の気持ちを忘れぬよう、改めて4ヶ月間のことをまとめようと思います。
(1)はじめに
まず、このnoteを通じて思わぬ出会いがたくさんありました。
多数の介護医療関係の方とつながることができ、心細い時には「いつも楽しみに読んでいます」というコメントに「みてくれている人はいるんだ」と、すごく励まされていました。
実際に、ご家族の難病で苦しんでいて、ホスピス選びのご相談をいただいた時は、情報が届いていることや力になれていることにとても嬉しかったです。
そして大変厚かましいお願いですが、さらに多くの方のお力をお貸しいただけないかと思っています。
これから読んでいただく文章に、もし共感いただけた場合には、「こんな人がいるから繋ぐよ!」「こんな施設があったよ!」など教えていただけたら嬉しいです。
(2)祖母の癌告知、そしてホスピスとの出会い
ホスピスの立ち上げは、何かひとつの特別な出来事が起きて「よーし、ホスピスを立ち上げよう!」となったわけではなく、かなり複雑な出来事の連続により至ったことです。
私はこれまで、「家族の愛情を色褪せず形に残す」と掲げて、株式会社NOKOSを創業し、我が子の成長を一枚に描くメモリアルアート「べびしゃ」や、結婚式で両親に贈るビデオレターなどの、イラストや動画などの事業を展開してきました。
「べびしゃ」は、祖母や母が、幼少期の私をどんな気持ちで育ててくれたのか、"感情”の部分がいま何も残っておらずもったいない!と感じたことをきっかけに、
「ビデオレター」は、結婚式だからこそ両親に伝えきれない感謝を伝えるために、その場限りには終わらない枯れないギフトを渡したいと思ったことをきっかけに、
サービスやブランドを立ち上げ、「家族に愛情や感謝を伝える」というどちらかというとポジティブで「生」寄りの活動をしてきました。
「これらのサービスを全国の家庭に届けたい!」と意気込み、4年ほど活動をしてきた中で、分かったことがあります。
「人は、相手との関係性に終わりを感じたとき、初めて感謝や愛情を惜しみなく表現できる」と。
そんな中、最愛の祖母が癌宣告を受けました。
祖母との「終わり」を、急に、すごく身近に感じました。
それから私も、例に漏れず、今まで以上に感謝や愛情を祖母に伝えるようになりました。
そして、これまでの「生」に加え、「死」の周辺にある家族愛についても、深く考えるようになりました。
(3)祖母の病と家族の衝突
祖母が病気になって、最も変わったものの一つに、"家族間の関係性"がありました。
母は毎日、祖母の元へ通って料理を届けたり、病院に連れ添ったり、自分を犠牲にして祖母中心の生活になりました。
私は仕事に全く集中できなくなり、毎日隙を見つけては、1時間かけ祖母の元へ行きました。
仕事との両立は本当にきつく、よく介護と仕事の両立問題が騒がれている理由がよくわかりました。
大切な人を失うかもしれない不安と、どこに向けたらいいのかわからない憤り、何より、こんなに献身的に支えているのに、祖母の容態はよくならないこと。
不安と恐怖ともどかしさが私たちを襲い、これまでしたことのない口論や対立も増え、毎日のように泣いていました。
そんな日々を過ごしているうちに、私は、私たちのような家族は他にもきっと多いのではないか、と社会に対しても目が向くようになりました。
介護や看護を理由に仕事を辞める人は1年で10万人以上。
「家族仲が悪くなった」と回答した方は全体の9割にものぼるそうです。(みんなの介護より)
人生終末の時間に、病気が原因で家族間のコミュニケーションがギスギスしてしまったり、本来あるはずの穏やかな時間が看病や介護で、思うように過ごせない。
それって、すごく勿体無いことだ、と。
病状が進み在宅看護が必要になったら、家族の負担はさらに重くなり、さらに関係悪化してしまうケースや、家族が疲労困憊してどうしようもなくなってしまうことは少なくないです。
そこで、病を患った終末期の患者とその家族を支える仕組みはないのだろうか、と色々調べているうちに「ホスピス」という概念に出会いました。
「ホスピスとは、終末期患者にとって、最後までその人らしい暮らしができる終の住処である」
これを知った時、「私が起業家として、次に挑戦すべきはここだろう」と、自分が今直面している現実や原体験から、直感的に思いました。
(4)ホスピス立ち上げに踏み切った私がとった6つの行動
私は医者でも看護師でもない、無資格未経験者。
そんな私がホスピス立ち上げだなんて、周りには無謀と言われるでしょう。
でも、始めてみなければわからない。
行動①:まずは業界の知識をインプットしきる、と決め、受験時を思い出しながら寝る間を惜しんでとにかく勉強しまくりました。
介護報酬や保険の仕組み、ホスピスの種類、ビジネスモデルなど、ありとあらゆる情報を学び、何を聞かれても答えられる状態にしました。
行動②:東京全域、福岡、大阪、岐阜と全国の施設へ、「祖母を預けられるか」を基準に、実際に施設を見学に行きました。
ここで実際に看護師さんの利用者さんへの接し方、施設ごとの違いをかなり明確に理解しました。
行動③:ホスピスの専門家や、実際に現場で働く看護師さん約20名以上に話を聞きました。
現場で働く中で感じている疑問や違和感、ホスピスの課題などかなりリアルなところまで聞くことができました。
行動④:実際に現場で働く経験がしたい、とボランティアを申し込みました。
もちろん無資格未経験の私が働ける場所はかなり限られていますが、それでもできることはあるはず、と手当たり次第電話をして直談判をしました。
(とはいえ、本当にできることは限られており、お茶汲みや見守り・お話し相手などがほとんど)
行動⑤:ホスピスを利用したことがあるというご家族に、当時の話を聞かせていただきました。
「もっとこうだったらよかった」「おかげで最後まで悔いない時間を過ごすことができた」とよかったことも後悔していることも、赤裸々にお話を聞かせていただきました。
行動⑥:介護の資格を取ることに決め、学校に通い始めました。
まずは初任者研修からですが、現場を人に任せなければ回らないような運営はしたくないと思いました。
(5)取り組みたい社会課題
これらの経験を経て、ホスピス業界のリアルな実態や、社会的に取り組むべき課題がかなり鮮明に見えてきました。
病院の入院期間が短縮され病床数は減少し、在宅ケアも家族のサポートが十分に得られず限界があることもしばしば。
そして、病院にも在宅にも居場所がない、「看取り難民」と呼ばれる人たちが約50万人ほどいると言われています。
そこで、病院と自宅の中間にあたるホスピスの需要が伸びており、ホスピス新規参入者は年々増加しています。
ですが、施設見学をしている中で、真の意味で利用者に寄り添っている施設はとても少ないと感じました。
人員と入居者数が合わず、利用者が蔑ろにされ、その家族が入居させたことを後悔した事例は、星の数ほどあることも知りました。
医療介護の対応が必要な中で、利用者の希望を100%叶えることや、個々に向き合う時間には限界があることも十分に理解できます。
ですが私は、しっかり社会課題にアプローチしつつも、ご利用者とその家族が心から安らぎを感じ、施設の存在があることで、より家族間のコミュニケーションに集中できるような、そんなきっかけづくりまでデザインしたいと思いました。
だから、今後の目標をこのように言語化しました。
私は、この「約50万人の看取り難民」の居場所となるような空間を作りたい。そして、「大切な家族を安心して任せられる第二の家」をコンセプトにホスピスを立ち上げよう。
(6)ここまで読んでくださった方へ、お願い。
これまで4ヶ月間、とにかく走り続けてきました。
「ホスピスを開業したい」と夢を語った時、「いやいや無理でしょw」と鼻で笑われ、「絶対失敗する」と頭ごなしに否定もたくさんされました。
ですが、多くの人を救いたい一心で、今も活動を続けています。
ただ、立ち上げには膨大な資金と人員が必要で、やはり一人の力では限界があります。
そのため、足元ではまずホスピスを新規開業したい経営者や事業者のもとで、一緒に立ち上げをさせていただく実績を積む予定です。
ここまで読んでくださったあなたの周りに、こういう看護・介護系の経営者がいるよ、や、ここの施設の理念が好きなんだよね、などホスピス運営にまつわる情報があれば、教えていただけたら幸いです。
そして今後も、活動はnoteにて発信していこうと思っているので、フォローして見守っていただけたら嬉しいです!
これからもこのnoteではホスピスにまつわる業界の情報や、施設の見学レビューを発信していきます。
ホスピス選びに困っている方などはお気軽に下記のメールアドレス宛にご連絡をお願いします!
→ info@nokos.co.jp