連載:城東の奇跡~大激戦!東京15区選挙レポート 第8節:対話
思いもよらぬ困難が選挙戦を襲った。
白河での街宣に私は向かった。だが、指定の場所に行ってももぬけの殻である。急いで連絡を確認すると、妨害が入り、街宣は中止になったということだ。妨害の首謀者は、告示日以降他陣営にも次々と執拗な付きまといや妨害行為を行い、ネット上も騒然としていたのだが、いよいよ我らが陣営にもそれが及んだのである。政策の訴えや有権者の方との対話を阻害する卑劣な行為に私は怒りに燃えた。
幸いなことに、その日に南砂2丁目団地入口で行われる街宣は実施されることになったので、そちらの方に向かうことにした。あのようなことのあった直後だったので、なおさら傍にいてあげたいとも思ったのだ。
安住淳国会対策委員長、大串博志選挙対策委員長とともに選挙カーから降りてきた酒井なつみさんは、相変わらずの笑顔で有権者と対話を重ねている。党の役員ふたりを迎えた演説会は、だんだんと人が集まってきて、交差点の歩道橋まで人があふれるほどだった。周辺の方も興味を持って聴きに来てくださった。団地の住人の方もベランダから耳を傾けておられた。
弁士の安住さん、大串さんは流石話がこなれており、人に聴かせる力がある。そして、自分が話していない時も、団地に向かって手を振って有権者の皆さんを惹きつけようとしている。もちろん、酒井さんもにこやかに手を振り、道行く人とコミュニケーションを積極的にとる。そして、酒井さんは殊更誇張することもなく、実直に、自分の政策と国政への意気込みを聴衆に語り掛ける。
酒井さんの、「人の痛みのわかる」人柄と「対話」を大切にする姿勢は演説終了後も健在であった。安住さん、大串さんという役員とともに、聴衆ひとりひとりのもとを回り、市井の声に耳を傾けている。その光景を目にして私はほっとした。ご自身が危険な目に遭ったばかりで内心穏やかではないだろうに、酒井さんは表情ひとつ変えず、むしろ今まで以上に密に有権者と対話し、メッセージを受けとめている。酒井さんの励ましになれば、にぎやかしになればと向かった街宣であったが、むしろ私の方が酒井さんに励まされたくらいであった。それと同時に、この南砂での街宣が無事に終わったことに安堵したのであった。
妨害行為が江東区、そして世間をざわつかせる中でも選挙戦は続く。期日前投票も江東区内数か所で始まっていた。事務所では、証紙貼りのほかに電話かけも始まった。はじめ、私は単純作業の証紙貼りを黙々と行っていたが、横で行われている電話かけの様子を漏れ聞いて、自分もやってみようという気になっていた。
電話かけというのはまさに、有権者との対話である。