連載:城東の奇跡~大激戦!東京15区選挙レポート 第16節:課題
投開票日の昼下がり、私は砂町銀座へ再び足を運んだ。
砂町銀座には市民連合の拠点があり、今回の練り歩きでも相当お世話になったし、地域に密着したこうした団体があったからこそ商店街中にポスターが貼ってもらえることに繋がったに違いない。
事務所に挨拶に伺い、今後の課題について意見交換をしあったのだが、今回の共通政策にもあった「防災」が最大の問題であるという。酒井なつみさんへの寄せ書きを見ても、「防災対策をお願いします」との声が強い。そして、その課題は江東市民連合が共通政策にと熱望したものであったのだ。
「ここは海抜何メートルですか?」
「マイナス地帯ですよ。氾濫したらやばいんです。」
私の地区も、荒川や墨田川沿いの低地は危険エリアであるが、江東区の場合には海抜ゼロメートルかマイナスである。万が一台風や津波などで川の氾濫を招いた場合には避難体制が最大の問題である。そしてそれは地域の皆が否応なしに直面する問題だ。この地区は高齢者の方も少なくない。子育て世帯も多い。そうした方々がすぐに逃げられるよう手筈を整えねばならないのだ。
共通政策としてはもうひとつ、湾岸エリアへのカジノ施設(IR)誘致反対があった。今回も出馬していた元自民党の衆議院議員がIR企業からお金を受け取っていたことで辞職したことがあり、無所属候補を支援している小池都知事も誘致をあきらめてはいない。そして、候補を出している維新は大阪で、万博の跡地をカジノに転用しようとしている。企業の儲けにこそなれ、地域の利益に結び付くかも怪しく中毒性のあるカジノの誘致に対し、結束して反対することは至極当たり前である。
これら2つの市民連合の設定した地域の共通政策の柱を、酒井なつみさんは絶対に遵守してくれると太鼓判を押す。酒井さんは、私利私欲のために立候補したのではなく、世のため人のために待望されて立候補したからだ。そして、選挙期間中も一切自己顕示をすることなく、淡々と自分の政策を訴えるばかりであった。酒井さんなら、汚職まみれの江東区の暗黒時代を終わらせてくれるだろう。課題は山積みだが、着々と取り組んでくれるに違いない。
砂町銀座へ向かう途中、投票所の目の前を通り過ぎたが、子連れのご家族が散歩がてら投票に行くのを目の当りにできた。皆さんにピッタリな政治家がひとりいますよと心の中で訴えた。
そのあと、私は事務所近くのアリオで時間つぶしをしながら一服してその時が来るのを待っていた。
午後7時過ぎ。私は木場の事務所に向かった。
運命の時が刻一刻と近づいていた。