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連載:城東の奇跡~大激戦!東京15区選挙レポート 第7節:期待

 選挙戦2日目、私は木場にある酒井なつみ選挙事務所の扉を叩いた。

 2年前に松尾明弘前衆議院議員(現東京7区支部長)の参議院選のボランティアをした際には、証紙貼りと電話かけを少しお手伝いしたが、もっぱら街宣の設営やビラ配りに徹していた。
 今回の補欠選挙では、あの時よりも裏方仕事をしっかりやりたいと思っていた。早速事務所の2階で証紙貼りをすることになった。地味な作業ではあるが、証紙を貼っていないビラは配ることができない。街頭活動をする上では必要不可欠な作業である。松尾さんの選挙の際も、海江田万里衆議院議員などが証紙貼りに自ら訪れていたという。ひとりで黙々と作業が出来るので気楽であった。作業中は、酒井なつみ街宣車が何度も事務所の前を通過するので、こちらが励まされているような気分になった。
 黙々と作業をしているうちに、あっという間に証紙を貼ったビラの束がつみあがっていく。ビラ1枚1枚に魂を込めて証紙を貼り付けた。たかだかビラ100枚、200枚と思うなかれ。2022年6月に行われた杉並区の区長選はわずか186票差(つまりビラひと束分)であった。ひとりひとりの力は小さいが、本当に僅差の争いでは、そのひとり分の力がものを言うことだってある。
 そう考えると、「わずかな時間でも結構ですので」とあちこちの選挙事務所が付け加える文言は本当にその通りだと思う。微力が積み重なって、大きな力となる。今回、我々は特に大きな組織を味方につけているわけでもない(某労働団体は「自主投票」で、実際には系列の自治体議員さんなどが応援に来たりしていた)。その中では、「出来る人が、出来るときに、出来るだけ」というのが大きなウェイトを占めてくるだろう。
 事務所では、他にも作業にいそしむボランティアの方がいらっしゃり、真剣な表情で証紙を1枚1枚に貼り付けていた。
 皆、酒井さんに期待し、酒井さんを信じ、そして酒井さんを勝たせようとしていた。

 次の日も、少し時間があったので、証紙貼りを手伝おうと思ったが、もうすでに作業は一度終了し、ポスター貼りとはがきの宛名書きに移行していた。街に出る時間は取れないので、はがきの宛名書きを少々お手伝いしていた。するとそこへ、ポスター貼りに出かけていた方が事務所に引き上げてきた。意気揚々と、「3軒頑張れと言われた」と仰っていた。私はこの時、はっとした。街の期待は確実に高まっているのだ。今まで立憲民主党が弱いとされてきた地域でも、立憲何とかしてよという空気が醸造されている。あとは、投開票日までにどれだけそれを広められるかだ。私は、いつになく選挙にわくわくしていた。

 だが、選挙戦の現場では思いもよらぬ困難に直面することになる。


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