下手な文 11<悲しいがあるとき>
失われたものを思うと涙があふれる。
思うように出来ていないことに気付いて涙がこみ上げる。
後悔にさいなまれて胸が苦しくなる。
失われたもの、出来ていないこと、後悔。
語ろうと思えば具体的な出来事をたくさん連ねることはできる。
涙の「原因」だと思えるような物語。
そう、それらは物語。
「原因があるから悲しい」からいったん離れてみよう。
ただ「悲しい」があるだけ、としてみよう。
その背後にあると思われる物語は切り離してみよう。
そう、わたしはただ「悲しい」のだ。
わたしの正体は悲しみなのか。
悲しいね。
・・・なんて悲しみに浸りながらお茶を飲んでいたら、
変なところに入ってそれどころではなくなった。
涙目になりながらむせているとき、
そこには悲しみも何もなかった。