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循環器内科の看護師って大変ですよね?実際に勤務した感想とおすすめの本紹介
循環器内科病棟って実際にどうなの?
勤務異動や転職したいけど、どんなお仕事か知りたい!
循環器内科の特徴は?
仕事内容は?
勉強する時におすすめの本は?
ぶっちゃけどうなの?
👆こんな疑問にお答えします。
大変さを共感したい人にもおすすめです。
循環器科は、ドラマの急変のシーンなどカッコよく見えて花形のイメージがあり向上心の高い看護師さんには人気の科です。
そんな話題の、求められている人材になれてしまう科です。
でもいざ実際に働こうと思うと自分に勤まるんだろうかと迷ってしまいますよね。
私はこれまで総合病院に看護師として20年勤め、循環器内科病棟に8年勤務してきました。
その経験を元に、循環器内科病棟のお仕事は実際にどうなのか、仕事内容 やりがい おすすめの本など詳しく紹介していきます。
新人看護師さんや看護師ではない一般の方にもわかりやすいような簡単な言葉で書いていますので、気軽に読んでください。
目次
循環器内科の5つの特徴
特徴1 入院するのは心筋梗塞、心不全の患者さんが多い
特徴2 検査や処置が多い
特徴3 重症患者さんが多い
特徴4 急変が多い
特徴5 扱う医療機器が多い
循環器内科の主な仕事内容
1.24時間心電図モニターを監視する
2.体重、水分出納(飲んだ水分と出た水分)を管理する
3.頻回なバイタルサインチェック(体温・脈拍・血圧・呼吸数・酸素飽和度測定)と症状と身体状態の観察
4.心臓カテーテル検査の出棟と帰室後の管理
5.心筋梗塞後発症後の患者さんの心臓リハビリテーション
循環器病棟に勤めてみた実際の感想
感想1.心電図が読めるようになる
感想2. 急変時の対応ができるようになる
感想3. 重症患者さんの看護ができるようになる
感想4. 看護師として異変の察知能力が上がる
感想5. 循環器病棟に8年勤めた私の本音
循環器内科の勉強をする時におすすめの本
心電図がわかりやすい本(看護師)
循環器全般についてわかりやすい本
循環器内科で働いていてつらい人は異動か転職を
まとめ
循環器内科の5つの特徴
特徴1 入院するのは心筋梗塞、心不全の患者さんが多い
心筋梗塞(心臓の血管が詰まるか狭くなって、血液循環が悪くなり心臓の筋肉が壊死する病気)を起こした患者さん。
心不全(心臓の動きが悪くなって体や心臓や肺に水分が貯まってしまう病気)の患者さん。
心臓カテーテル検査(体の外から動脈に針を刺して心臓の血管までワイヤーを進めて血管の状態を観察し、狭くなっている血管を拡げる治療)目的
の患者さんが多いです。
特徴2 検査や処置が多い
ここは興味ある方だけ読んでください
検査:心臓カテーテル検査、十二誘導心電図、胸部レントゲン検査、胸部CT検査、心臓CT、心臓負荷試験など
処置:心のう穿刺介助、Aライン挿入抜去介助、スワンガンツカテーテル挿入抜去介助、IVH挿入介助、挿管介助、心臓カテーテル検査後の止血解除など。
特徴3 重症患者さんが多い
心筋梗塞後の患者さんは、心臓カテーテルの治療を行って、病気の前と同じように動ける患者さんも多いです。
しかし、心臓の血管が詰まっていた場所が悪かったり、心臓や全身へのダメージが大きい場合、重症となります。
また心不全の患者さんも、急激に体や心臓に水が貯まり過ぎると、心臓を上手に動かせず肺に水がたまり、呼吸が苦しくなって、血圧も維持できなくなるため重症となります。
重症になると、人工呼吸器(呼吸をサポートする機械)やIABP(心臓バルーンパンピング:心臓を動かす機械)、人工心肺(肺の代わりに血液に酸素を取り込む機械)などの医療機器をつけていないと生命を維持できない状態になります。
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特徴4 急変が多い
急変とは、患者さんが急に生命の危機的状態に変化することです。
循環器内科は、心臓の動きが悪くなる病気を扱っているので急変が多いです。
重症者も多く、入院しているほとんどの患者さんの24時間心電図モニターを観察しているので、心臓や呼吸が止まってすぐ、死に至る前に発見することが可能です。
異常が発生した時すぐに駆けつけ、心臓や呼吸が停止した状態から呼吸や心臓が再開するような処置を迅速に行う必要があります。
特徴5 扱う医療機器が多い
ここは看護師以外の方は、読み飛ばしてください。
人工呼吸器、心臓バルーンパンピング、人工心肺、Aラインモニター、スワンガンツカテーテルモニター、低体温療法用冷却ブランケット、NPPV(心不全の原因となる睡眠時無呼吸症候群に使用する非侵襲的陽圧換気)、AED(一般の人も使える心電図解析をしてくれる電気ショック)、DC(電気ショック)など
急変、重症患者さん、扱う医療機器が多いということは、その分覚えなきゃいけないことが多いよー💦
循環器内科の主な仕事内容
1. 24時間心電図モニターを監視する
心電図モニターとは、患者さんの心電図異常を24時間リアルタイムに観察するものです。
心電図には心臓の微妙な変化がいち早く表れます。
この患者さんには何のために心電図モニターを装着する指示がでているかを把握し、心電図に変化が起きた時、その患者さんに何が起きているのかを考えて、
バイタルサイン(体温、血圧、脈拍、酸素飽和度など)症状と共に医師に報告していく必要があります。
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2.体重、水分出納(飲んだ水分と出た水分)を管理する
主に心不全の患者さんの体重を一日一回測ります。
心不全の患者さんは、塩分と飲水量の管理が心不全を悪化させないために大切です。
患者さんによっては、医師から入院食の塩分制限と水分制限とおしっこをためる指示が出ます。
患者さんに塩分と水分制限の必要性と、水分を飲んだときに量を用紙に書いておくよう指導し、一日の飲水量をカルテに記載します。
体重や水分量が多かったり、尿量が少ない場合は心不全が悪化する可能性があるので、患者さんの症状も合わせて観察し、医師に報告します。
3.頻回なバイタルサインチェック(体温・脈拍・血圧・呼吸数・酸素飽和度測定)と症状と身体状態の観察
重症患者さんだったら、24時間心電図モニターで脈拍や 酸素飽和度 、呼吸数、心臓の動きを観察し、
Aラインモニター(動脈に入れたセンサーで常時血圧をみる)などを観察しています。
尿量や呼吸状態、呼吸音、むくみなどの身体状態も同時に観察して患者さんの状態を把握し、
変化があれば医師に報告していきます。
重症の場合、特に変化がなければ一時間ごと、血圧が下がったなど変化があれば数分おきに電子カルテに記入していくこともあります。
4.心臓カテーテル検査の出棟と帰室後の管理
心臓カテーテル検査(心筋梗塞の原因となる心臓の血管の狭窄の程度をみて拡げる処置をする検査)が、
施設によって違うと思いますが、1日に10件くらいあります。
その検査に行く前の処置や検査室まで車いすで連れていく業務があります。
心筋梗塞を起こしたことのある患者さんが定期検査として予定入院してきます。
入院、退院の業務だけでも大変です。
心臓カテーテル検査は手首や肘の裏や足の付け根の動脈から穿刺するため、
検査終了時、動脈に入っていた管を抜いて圧迫固定し、病室に戻ってきても圧迫固定したまま安静が必要です。
医師の指示に沿って圧迫を解除する手順が決まっているので看護師が圧迫解除の処置や、
動けるまで患者さんの身の回りの世話をします。
患者さんによっては再出血したり、内出血して大きく膨れたりする患者さんもいるので、
看護師は検査後すぐは30分~1時間おきに、血圧や出血していないか圧迫しすぎていないかなどの観察をします。
5.心筋梗塞後発症後の患者さんの心臓リハビリテーション
心筋梗塞を発症して心臓カテーテルで治療を行ったあと、
患者さんの経過が良ければ慎重にリハビリを開始して、すこしづづ動ける範囲を広げていきます。
その指標となるのが心臓リハビリテーションです。
立位から歩行までの段階を、一週間ほど時間をかけて、看護師がリハビリの前後で十二誘導心電図や症状の変化がないか見ながらリハビリしていきます。(心電図の変化があれば医師に報告します)
※施設によっては理学療法士さんが行うかもしれません。
その上で、ナースコール対応、重症者や動けない患者さんの体拭きと着替え、お風呂、オムツ交換、トイレの介助、食事の介助、歯磨き介助、薬を配る、点滴、採血などの業務があります。
循環器病棟に勤めてみた実際の感想
感想1.心電図が読めるようになる
24時間患者さんの心電図を観察し、異常があれば医師に報告しなくてはいけないので、
間違いなく心電図が読めるようになります。
患者さんが胸の痛みを訴え、十二誘導心電図をとったら心電図変化があり、
心筋梗塞が疑われるから医師にすぐに報告する。なんて場面があります。
感想2. 急変時の対応ができるようになる
重症患者さんが多いので、患者さんの状態が変化しやすく、急変することは多いです。
24時間心電図や酸素飽和度の観察をしているということは、
心停止や呼吸停止ししてすぐの状態を発見することが多くなります。
心停止や呼吸停止をしている患者さんに対して
ICLSやBLSの知識(突然の心停止に出会ったときにどのように対応すべきかという『チームで行う高度な救急蘇生法』)を生かして医師と看護師がチームで対応していく。
心臓マッサージや電気ショックなどを使って、まさにドラマでよく見るひっ迫した状態に対応するということがスムーズにできるようになっていきます。
感想3. 重症患者さんの看護ができるようになる
心肺停止の蘇生処置後や、心筋梗塞の重症者、心不全の重症者など、
呼吸や心臓を自分でしっかり動かせず、
人工呼吸器や人工心肺を装着していないと生きていられないような重症患者さんに対応することが多くあります。
感想4. 看護師として異変の察知能力が上がる
循環動態の観察(血圧、脈拍、酸素飽和度、水分出納、体重など)と呼吸音、自覚症状の観察をしていると、
いつもと違うという視点で何かおかしいという気づきができるようになります。
(その点は他の科でも同じだとは思いますが)
早めに医師に報告して対応してもらうことで、
患者さんの異変を平常の状態に保つということにもやりがいを感じます。
感想5. 循環器病棟に8年勤めた私の本音
とてもやりがいがあり、自分が看護師としてステップアップしている自覚や自信も芽生えて、
重症患者さんや急変対応、たくさんの医療機器などに触れ、学ぶことが楽しくなるような科です。
しかし、一方で急変や残業や勉強して覚えることが多く、体力や自分に使える時間がないと大変な思いをするかもしれません。
また、緊迫した状況になりやすい上に、ナースコールや重症患者さんの処置や清拭や検温やカルテに記載しなくてはいけないことも多く、忙しい職場と言えます。
その分スタッフの仕事量が多く、緊張感、ストレス、疲労も積もりやすく、医師や先輩看護師から厳しい言葉が飛んでくる事もあります。
勉強が追い付いていない時期には自分の知識や経験のなさに肩を落とす場面も少なくありません。
しかし、最初はなんでもできないのが当然です。
やりたい頑張りたいという気持ちさえあれば、少しずつ自分がステップアップできて、医師やスタッフ同士のチーム連携をとって、九死に一生を得た患者さんが良くなっていくのを見守れる素晴らしい科だと思います。
循環器内科の勉強をする時におすすめの本
循環器病棟に8年勤務した私が、
循環器内科の勉強をするときにおすすめの本を紹介します
心電図がわかりやすい本(看護師)
ポケットサイズで、判断に迷ったときすぐに取り出して調べられる、頼れる相棒になります。
私は何度もこの本に助けられました。
少し字が小さいので老眼にはつらくなってきますが、分かりやすい解説がイラスト付きでポイントをつかんで書いてあるので、心電図のことならこの一冊で普段の勉強も、わからない時のカンニングもできる最強の一冊!
カバーの折り返しに、心拍数スケールとQTcスケールがついているのが心電図を読むときに役立つ!
心電図の波形に対する緊急度を「緊急対応」、「要検査」、「経過観察」で分けてくれており、治療とケアについても書いてくれているので、先輩や医師に相談するかどうかの判断に困ったときにも役立つ!
心電図が読める人になりたいと思っているなら、買わないでいる時間がもったいないのですぐに買ったほうがいい!
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循環器全般についてわかりやすい本
看護師なら一度は目にしたことがある、言わずと知れた『病気が見えるシリーズ』です。
Vo.1+2という大ボリュームですがその分疾患、心電図、使用する薬、検査など網羅された内容です。
図解で詳しく書かれているのでわかりやすく、循環器内科の勉強はまずこの2冊で十分です。
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循環器内科で働いていてつらい人は異動か転職を
循環器内科は、とてもやりがいのある仕事ではありますが、肉体的にも精神的にも非常にハードな科です。
看護師として成長したいという思いが強く、がんばれる人はいいですが、心も体もボロボロで家事や育児に影響があるなら、がんばりすぎることはお勧めしません。
その場合、異動か転職をお勧めします。
まずは異動を申し出ます。
でも、異動に同意してくれない病院も多々あります。そういう病院はだいたい働いている人を大事にできていない傾向にあります。
その時は、実際に転職しないとしても、転職サイトに登録して求人情報を見るだけでもやってほしいと思います。
病院以外にもあなたの看護師としての能力を活かせる場所はたくさんありますよ。
\看護師の新しい働き方「フリーランス看護師」/
👉 フリーランス看護師(ナース)とは?仕事内容やメリットデメリットとなり方を解説
まとめ
結論として、循環器内科病棟は
心電図を読めるようになりたい
急変時の対応ができるようになりたい
重症者の看護ができるようになりたい
急変前の異変の察知能力を高めたい
などの向上心を持って看護に臨みたいという看護師さんには本当におすすめの病棟です。
でよく騒がれる、医療従事者の人材不足が改善しない、重症患者さんを看れる人材の育成には時間がかかるというのは、上記〇の知識が看護師の中でもできる人材は限られており、習得するには時間がかかるからです。
求められる人材になりませんか?
日々の出来事に対応することで看護師として確実にレベルアップしますし、私自身も循環器内科病棟に行く前まで不安に思っていた急変時などの対応に自信をもって『できる』と言えるようになりました。
一方で、
急変が多く想定外の事態が起こりやすい
覚える知識が多い
残業が多い
多忙と緊張で疲労やストレスがたまりやすい
ので、時間に余裕がなかったり、子供ができたり、体力に自信がなくなってから働くのは大変だと思います。
もし勤務するなら時間と体力のある時期に行くことをお勧めします。
でも、もしこの記事を読んで循環器病棟で働きたい!と思う方は、
どんな状況であっても頑張れる向上心のある方だと思います。
そう、『今日が一番若い日』、思い立ったが吉日です!
ぜひ転職や勤務異動の希望を出して挑戦してみるといいと思います。