大学生必見!7分で分かる「コピペと言われないレポートの書き方教室」
今日も記事を開いてくださり、ありがとうございます。今日は大学で准教授をされている山口裕之先生の著書「コピペと言われないレポートの書き方教室」の要約です。外出自粛期間中にレポートの書き方をサクッと学びましょう!
本書のターゲットは「大学の新入生または高校生」、『大学生に「コピペ・レポート」を辞めさせたい教授』ですが、レポートの書き方は社会人として知っておくべき常識であるため、幅広い世代必読の1冊でしょう。まずは本書の特徴を2点あげます。
まずなんといっても、とにかく分かりやすい。この種の本は他にも多数出版されていますが、「論文」についても取り扱っていたり、内容の多い物が多いものが多数見受けられます。その点、この本は「最重要ポイント」に絞っているため「具体的」でかつ「実践的」であるのが最大の長所といえるでしょう。
次に、視点が「採点する大学教員側」という点です。学生が陥りがちなポイントを指摘し、どう書けば減点されないかについて詳しい説明がなされていています。巻末に「チェックリスト」もついているため。大きなミスをすることはまずなくなるでしょう。
<本書の要点>
要点❶
内容ごとに段落に区切ったり、段落の頭は1文字下げる、科目名やタイトル、名前学生番号などの基本事項を記入する、などのきほんは守る。コピペと言われない書き方、それは情報源を「引用」と「出典」で必ず明示すること。
要点❷
ネットの情報はきっかけ。文献や論文などの検索サイトを利用し、複数の情報源を確認する。そして、できるだけ「出典」がある情報を利用する。テーマが与えられない時は、個人の興味ではなく、学問的・社会的に問題になっていることについて、常識の反論を交えながら考察を進めていく。
要点❸
レポートのゴールは客観的な根拠を比較し結論を出すことであるため、「思う」は禁句。基本の接続詞「たとえば・しかし・それゆえ・つまり」で起承転結を意識して、具体的な結論をしっかりだそう。ぼやかした、「真剣に考える必要がある」や、無意味な主張である「結局〜は不可能だ・限界がある」などの結論はアウト。
<要約>
まずはレポートの基礎・基本を知ろう!
レポートっていったい何? どんなことに気をつければいいの?
ここでまずレポートについての定義を確認してみましょう。簡潔に、テーマに対して知識や理解を持ち、さらには問いかけや結論を出すものです。そして教授は、生徒がテーマについてどのように感じ、理解しているかを評価するのです。そのため、本や論文を読み、そこに書かれているものと自分の意見の違いについて、筋道を立てて書く事が求められます。
レポートについて大まかに掴めたでしょうか。次に、コピぺ以前の基本について見ていきましょう。多くの場合、学校側からワープロソフトの指定はあると思いますので、パソコンで作成しましょう。A4の横書きが基本で、内容のまとまりで段落は区切り、文頭の最初は1字下げましょう。文末は「だ・である」(常体)に統一しましょう。またページ番号を振っておくと良いでしょう。
コピペと言われないためには?(基礎編)
では早速、情報を正しく引用した正しい合格レポートの基礎を見ていきましょう。前提として引用というのは自分の意見を根拠づけるためにあるものです。それをわかった上で適切に利用しましょう。
引用部分はカギかっこで示し、その出典を書きましょう。出典の書き方には主に3つの方法があります。❶本文中に差し込む、❷注に書く(wordの注釈機能など)、❸文献一覧に書くというやり方です。著者は❸を勧めています。これは本文中では(〜の〜による)と簡略的に示しておき、レポートの末尾に「参考文献・ウェブサイト一覧」という欄をつくり記載するという方法です。
情報の変遷があるウェブページの出典の示し方には、注意が必要です。ポイントはまずその「ウェブサイトの制作者」を書き、そのあとに「ページのタイトル」、それから「URL」を示し、最後に「そのページを見た日付」を書くということです。文献の場合は、その著者が参考にした出典も確認するとなお良いでしょう。
論文や文献を自分で要約して使いたい!そう思った人もいるかもしれませんが、これは原文の徹底した理解やレポートと文献の問題意識を一致させるなど、高度な技能が必要なので、レポート初心者は手を出さない方が無難です。そのため、ここでの詳しい解説は避けます。
基礎編の最後は、よくやりがちな表現上の注意です。「〜と言われている」という主語を誤魔化してしまう表現は避けましょう。「広く〜と言われている、がしかし〜」という一般論として使うのは構いません。また「〜だそうだ」「〜と聞いた事がある」という表現はその人がきちんと調べていない証拠、絶対に禁止です。
もう悩まない!0から始めるレポート実践
複数の情報源を確認してみよう
まずどうして「コピペ・レポート」なるものが蔓延してしまうのでしょうか。それは調べてきた<正解>を発表すれば大丈夫だというレポートへの理解不足が挙げられます。また、直接的な理由としては「情報源をひとつしか調べない」ということです。先にも述べましたがレポートで重要なことは「比較検討」することです。
なぜそれが重要かというと、複数の情報を参照することで、同じテーマについて矛盾点が見つかり、議論が一方的に進むことを避けることができます。そのため情報源の信頼性の判定はしっかりと行う必要があります。そこで基準となるのは「出典があるか」「制作者が明示されているか」この2つは必ず確認しましょう。
文献の出典表記は日本と欧米では違う!?
日本語の書物と論文では少しだけ表記の仕方が異なり、欧米の書物や論文にも表記の仕方があります。ここでは表記の仕方を確認しましょう。
日本語の書物の場合には『 』でくくります。また日本語の論文の場合には論文のタイトルを「 」でくくり、それが掲載されている雑誌を『 』でくくります。
山田 太郎,格「将来のAI技術の可能性について」,『山田太郎大学研究紀要』(61),pp.43-48,2001
のように書いてください(61)は61巻、ppは掲載ページ、2001は発行年数です。
英語では、書物のタイトルは『 』でくくるのではなく、イタリック体で書きます。入試英文で見た事があるかもしれませんね。論文の場合は ” (ダブル・クォーテーションマーク)でくくり、掲載雑誌をイタリック体で書きましょう。
サクサクレポートを進めていくコツとは
ここではすぐに実践していただける3つのポイントについて解説していきます。
まずは課題に関連のある文献を検索して、論点発見の足がかりにしてみましょう。インターネットには論文や文献に特化したページがあります。試しに「Google scholar」と検索してみてください。Web上で閲覧する事ができたり、大学に所蔵しているか確認する事ができます。もし所蔵していなくても、ほとんどの大学図書館では他大学からの取り寄せも可能です。学術的な論文を参照して論文を書けば、あなたのレポートは「論文」というレベルに高まっていく事でしょう。
次に「複数の立場から書かれた情報を読む」ということです。先ほど多くの情報源を確認しよう、と言いましたが、例えば「原発反対」の団体は数多く存在しますが、当然ながらその主張は似通っています。これでは論点もクソもありません。そのため、常に「反対意見・反対の事例」を探す事が大切になります。
文系理系問わず、全ての学問・科学の基本は「批判」です。レポートというのは「科学的・批判的な態度」を身につけてほしい、という願いから課されているということを忘れないようにしましょう。
さて3つ目ですが、ズバリ「論じるべきことを見つける」です。レポート課題は大学の授業に関連するテーマについて出される事が多いのですが、たとえば「〜についてなんでも関心を持ったことを書いてください」などと言われた場合あなたならどう書き始めますか?
このようにいうと多くの学生が自分の興味で書き始めてしまうそうです。しかしその人が興味を持ったどうかは個人の問題です。レポートというのは「感想文」ではありません。個人的な「思い」ではなく、学問的・社会的に問題になっていること、論じるべきことについて書くようにしなくてはいけません。
「じゃあそれどうやって見つけるの!」そう思った方も多いことかと思いますが、実はここまで読み進めてくれた方なら、その準備はほぼ整っています。つまりたくさんの論文を読み、複数の情報源を確認し、その間で矛盾点や対立点が見つかったら、それが「問題にすべき点」である可能性が高いのです。
例えば本書では、ハイブリットカーについて、「燃費が良く、環境に良い」という一般的なイメージに対して、「CO2, NOx ,SOxなどの汚染物質の排出量は、素材の生産部分でプリウスの方が普通のガソリン車よりも多い」というデータを見たとする時に、「環境に良い」と「汚染物質の排出が多い」というのは矛盾することなので、どちらが「正しい」か考察しなくてはなりません。これが学問的・社会的に論じるべき点になるわけですね。
「正しさは人それぞれ」や「価値観による」などの主張は論外です。基本的に正しいかどうかは客観的に決まることです。例えば、環境に良いかどうかが「人による」では地球環境は崩壊してしまいますよね。かの有名なギリシャ哲学者、プロタゴラス的な結論は避けてください。(人間は万物の尺度である)
必見! 「引用」を利用した文章の構成術
自分で考えるとは?
さて、学者や専門家が論争しているポイントが把握でき、レポートで論じる点がはっきりした段階にきました。そして賛否両論の立場それぞれの根拠と主張を掴んだら、あとは考察です。このとき、「自分で考えることが大切」と言われる事が多いのですが、自分で考えるとはいったいどういう事なのでしょうか。
結論から言うと、賛否両論の立場について、その客観的な根拠を比較し、客観的に正しいと言える結論を出すことであると著者は述べています。自分で勝手に思いついたことを書くのではないのです。自分の「思い」を述べてはいけないということですね。主観的な感情や印象は問題解決にはつながらないのです。「自分で考える」とは、主張や根拠を「自分で調べる」という意味だと理解してください。
レポートの禁句! <〜だと思う>
「自分で考える」について理解できましたね。こうしたことを念頭に置きつつ、レポートを書くうえで具体的に注意すべきこと、それは「〜だと思う」と書かないことです。「〜と考える」「気がする」「印象を持った」これらも同じです。ではなぜこれらの表現は避けなければならないのでしょうか?
これらの表現は意見を述べられているような気がしますが、ここには落とし穴があります。それは「理由や根拠を書かなくても違和感がなくなる」ことです。レポートというのは、具体的な結論を導くものなので、きっちりと「〜だ」と断言しなければなりません。よって「〜だと思う」と書いてしまいそうになったら、なぜそう思うのかを調べ、考え、「根拠」を見つけましょう。この「なぜの視点」が「思い」と「意見」の違いを明白にしてくれるのです。
接続の言葉は論を導く交通標識!
レポートの書き方ポイントも残すところ2つです。続いてのポイントは「接続の言葉」を意識的に活用することです。つまり、「箇条書き」や「だらだら文」を避けるということです。「根拠のある意見」というのは、構造を持った一連の文章として組み立てられている必要があります。
基本は「たとえば・しかし・それゆえ・つまり」の4つです。文章の展開パターンとして起承転結などと俗に言いますが、レポートの場合、簡単に書くと、起:テーマを書く 承:テーマに関連する具体例をあげる 転:反対意見を取り上げる 結:結論を導く というふうにまとめる事ができます。これはあくまで一例に過ぎませんが、接続の言葉をうまく利用する事で理路整然とした文章を書く事ができます。
その他の接続詞についても少し解説しておきます。「そして」は論点を付け加えるもので、ひとつの根拠を上げた後、それに関係する論を付け加えるときに使いましょう。「また」は2つの事柄の併記に使います。「ところで・さて」は、話題転換の言葉ですが、あまり長くないレポートの場合、話題が拡散するのでなるべく使わない方が良いでしょう。「AだからB」の「だから」はAとBが論理的につながるかを必ず吟味しましょう。
具体的な結論を出そう!
ここまで読み進めてきた方は、かなりレポートの概要について詳しくなっています。最後にせっかくの調査・考察を台無しにしないように、結論について学びましょう。まず、どのような結論が「良い結論」かはテーマによって異なってきます。あるテーマに対して賛否双方を取り入れた具体的で現実的な対応策を提示したり、従来の論争では見落とされていた点を指摘できれば上出来です。
ではどのような結論が好ましくないのか、その典型例をみていきましょう。
★レポートを書くうえでそれはやっとかなきゃパターン
「真剣に考えなければならない」「各々が自分なりに考え結論を出す必要がある」
★まるで他人事パターン
「最近の学生の学力は低下している」「これは時代の流れなので仕方がない」
★具体的に何をしたら良いかわからないパターン
「人間の生存にはある程度の自然破壊は許容すべき」「様々な意見を考慮し決定する必要がある」
★結局○○思考パターン
「結局、人間の立場から考えている事なので本来の意味での自然保護は不可能」「結局人間のやる事なので限界がある」
このように、教授側からツッコミを入れられてしまうような結論だけにはならないように、注意してくださいね。
<一読のすすめ>
さて、レポートについて本書に書かれているエッセンスを紹介してきましたが、具体例や、実際のレポートの雰囲気など、紹介できていないところも多々あります。本書のまとめにある、巻末のチェックリストも使い勝手が良いので、大学生なら持っていて損のない1冊かと思います。大学の新入生へのギフトとしてもおすすめです。ぜひ一度手にとって読んでみてください。
最後に
記事を読んでいただきありがとうございました。
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