雨の夜に吐く息も白く
途切れるBluetooth、流れ出る音
広告の女の子では満たされない欲求
白い歯の笑顔を見せられても、僕にはこの夜に落ち着ける場所などない。
今すぐ腰を上げなければ。
若いやつらにしかできないこと。そもそも期待されてはいないが、気にしない、夢を語ろう。
いつでも本物だと言える夢、それがたとえメインストリームではないとしても、僕はそっちの方が好きだな。自分にだけは嘘をつくなよ。
汗で沁みるジーンズ。じわじわと背中の方にまで、決して心地の良いものではない冷たさが伸びて、迷い込む。
華麗なアウトサイドパスみたいに、うまく相手を騙くらかして、最終ラインを飛び越えられれば、きっと世界は思い通り。
後一歩のところで、結局何も変わらないまま。
朝がすぐそこまで来ている。
ここまで積み上げてきたものは、間違いなく今この地点に向かっていた。しかし、今1つの戦いは終わってしまった。
いつも勝ち負けを問われてきた。スコアは0−1、残酷なほどに正直だ。
戦いに敗れた者は、その負けを負わなければいけない。失うのではない。
時間がかかるだろうか。今までそれだけ時間をかけてきた。安定などない道を確かめながら前に進み、無理矢理にでも道を通してきた。
勝つというのは、自分の道を通すということだ。
負けた今、それは失われてしまっただろうか。時には、これでいいのかと問い直し、違う道を探す必要もあるだろう。ここはきみの戦場じゃないかもしれない。
しかし、僕には夢がある。フットボールはまだ、夢を見ている。
みんなの夢も、まだ続いている。
街から街、夜の雨
それぞれの還るべきところに足早に向かっていく。これからはそれぞれの戦いだな。少なくともいつかは同じピッチで戦った仲間、ピッチを出たその瞬間からもうそれぞれの戦いは始まっている。
満足してはいないだろう。この負けを背負って、この地点から繋がるいつかのどこかの地点に向かって、今はただ続けていくしかない。新しい靴を履くのはまだ早い。
繰り返される毎日。ルーティーン。しかし、徐々にだが確実に、見える景色が変わってきている。
昨日のように思い出していることがある。 それはあの遠くに輝いて見える星から僕がここに来た時のことだ。
悪くないじゃないか。朝には太陽、夜には月が1つ。あの日が上がって落ちて、また上がる頃には新しい日。今日は今日で、それがどこへも繋がっていないと思える日でも、きっといつか分かる。
今はただ、花に水をやる時とかコーヒーを淹れる時のようにゆっくりと、時間を進めていく、毎日。