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山塚リキマル『T.M.I』第2号発売記念&金子声児お誕生日おめでとう記念合同企画 “おめでとうVSありがとう”を開催します

 十年来の友人がいる。ベーシストである。はっきりいって天才である。
なんでも十五歳の誕生日に、『誕生日プレゼントは何が欲しい?』と母親に聞かれた彼は、なぜか全く欲しくもないのに『ベース欲しい!』と口走ったのだという。
驚いた母親が『あんたベースやるの?』と聞くと『えっ、俺ベースやんの!?』と返したそうで、これはつまり彼がベースを選んだのではなく、ベースが彼を選んだということだ。
文化芸術の世界ではこういうことがたまにある。
そしてそういう運命に出くわした人間のことを、世間では天才という。

 彼と出会ったのは2013年が明けてすぐのことである。
当時、僕がやっていたファンク・バンドのベーシストとして彼が加入したのだ。
そのバンドは贔屓目抜きで見てもかなり良いバンドだったと思うが短命で、
夏の終わりには解散してしまった。
ラストライヴの打ち上げのとき、居酒屋の隅っこで僕が、
『一生こんなことできたらなー』と誰にいうでもなくつぶやいたとき、
『やりましょうよ、一生』と即答してくれたのが彼であった。
あれから十年。どういうわけか現在、僕と彼は同居し、
相も変わらずバカ話をしながら、わけのわからないことばかりやっている(昨日も朝方まで飲んだ)。
冷静に、客観的に見て、まったくマトモじゃない暮らしぶりである。
こんなふざけた未来が待ってるなんて思ってもみなかった、といいたいところだが、
おおむね想像通りである。ずっとおんなじことをやり続けているだけだ。
つまり、我々は夢を叶えつづけている。

 33歳にもなると、『身体が資本』とか『人生、縁と恩』とか、
若い頃なら“つまんねーこと言ってんじゃねーよ”と一笑に付していたであろう、
そういう世間並みの、誰でもいうような、おもしろくもなんともない、
“ふつう”のことが、ホントのことだというのがわかってくる。
どんどん人生観が相田みつをめいてくる。
しかもそれを酔った勢いで熱弁したりするのだから、つくづくしょーもない中年男性になってしまったものだと思うのだけど、そういう当たり前のことをわざわざ言いたくなるのが中年男性というイキモノなのだ。
なので、ものすごく当たり前のことを今からわざわざ書くが、夢は叶う。
『有名になりたい』とか『大金持ちになりたい』とか、そういうのは夢とはいわない。
それは単なるオマケとかボーナスの類に過ぎない。夢とは手段ではなく、目的だ。
彼の夢はきっと『ベースを弾きたい』だったし、僕の夢は『文章を書きたい』ということだった。
だから我々は毎日夢を叶え続けているといえるし、ずっとゴールに立っている。
最高の友達たちが周りにいるし、『音楽さえ鳴ってりゃゲームはこっちのもんだぜ』って本気で思ってる。
これを幸せと呼ばずしてなんと呼ぶのであろうか?
幸せとは、情熱を注げる何かを見つけて、全力でそれにぶつかっていくことだ。
我々はこういうことを一生やっていく。
で、一区切りでもないがとりあえず十周年ということで、このたび、我々ふたりでイヴェントを開くはこびとなった。
拙著『T.M.I』の発売記念、そして彼こと金子声児くんのお誕生日祝いをかねての企画である。
企画名はズバリ、『おめでとうVSありがとう』だ。
この十年間で出会った最高の友達たちが一同に会す、愛と笑いの夜になることだろう。
いつも支えてくれる人たちに日頃の想いを込めてサンキュー、そして幸せ者の我々にコングラチュレイションズ!

 僕はヤングラヴというソウルバンドで出るのだが、東京でのライヴはじつに一年振りである。
自分でいうのもなんだが、ムチャクチャ良いバンドだ。
全身全霊を込めてかっ飛ばすので、ぜひ目撃してほしい。
差別主義、国家主義、その他の支配の時代も終わった。
これからの力は愛と感謝だ。
互い違いに『ありがとう』と『おめでとう』をぶつけあいまくって、勝手に幸せになろうや。
それでは失礼する。会場で会おう。まだしばらくは君の近くにいるはずだ。
愛してるぜBABY。




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