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32歳になってしまった

あのね、最近引っ越したって話をこないだしましたね。

で、早いもんでもう引っ越して二週間ちょいになりますけども、マジでヤバいんですよ。

住んでる街そのものが。

マジでヤンキー多すぎ。

コンビニの前とか大体地元のヤンキーが地べたに座ってたむろしてるし、高校生はこぞって自転車を両手放しで乗り回してるし、最寄りの中華料理屋にはいまどき横浜銀蠅のサインが飾ってあるしで、もう大変な騒ぎなんですよ。

こないだなんかサウナ行ったら、金髪ツーブロック&タトゥー入りまくりみたいな地元の輩が十五人ぐらいいたしね。

脱衣所に入った瞬間、『おやおや? LDHグループのオーディション会場ですかな?』って感じだったね。

そいつらの会話内容もなんかもうリアル全開って感じで、『あ、小田切先輩、チュース』とか言ってるワケ。『お〜〜久々じゃん。あの彼女とまだ続いてっか?』『いや、別れたっス。いまはアイツの妹と付き合ってるっス』みたいな会話してんの。

もうたまんないですよね。

で、そいつらを尻目にサウナ入ってたらね、もうその輩集団の中でもひときわ頭の悪そうな、お笑い芸人にならなかったホリケンみたいなヤツがやってきて、開口一番『んだよ、男しかいねえじゃん!』って叫ぶしね。

もうどっからツッコんだらいいかわかりませんよ。

あとねえ、大きい川が近所にあるんで、最近はよくそこで散歩してるんですけど、こないだ歩いてたら爆音でK-POP流しながらキャンプしてる家族がいましたね。テントの中でミラーボール回してたし。

そういうね、テンションの高いヤツしか生き残れない類の修羅の国です。

まあ、地元エピソードはすでに枚挙に遑がない感じなんでここらで切り上げるといたしまして話は急に変わりますが、先週、誕生日だったんですよ僕。

3月12日。

同じ誕生日の著名人を挙げますと、あの今をときめく大人気タレントのユースケサンタマリアさんがいらっしゃいますね。

他にも漫画家のやくみつる先生、詩人の銀色夏生先生、『ラブひな』のゲーム版のオリキャラ藤沢みづほ、そういう第一線で活躍してらっしゃる方々がこの世に生を受けた大変誉れ高い日ですよ。

32歳になりました。

まぁ一言でいうと老衰です。

老衰ですよ。

老衰なんです。

いや、確かに日本人の平均寿命は84歳だといわれてはおりますが、僕という個体の寿命はもう四年も過ぎてるんですよ。

まあまあまあ、加齢とはどういうことかといいますとね、変なところに毛が生えてくるということです。

もう最近は耳毛も生えてるし、肩毛も生えてるし、乳首の横に変なイボイボも出来てるし、もう終了です。

終了なんですよ。

終わりです。

いい加減にしてください!

本当にいい加減にしてください!!(合唱コンクールの練習のときマジメに歌わない男子に対して怒る女子の口調。このあと泣きながら音楽室を出ていくので誰か男子が謝りに行くことになる)

ていうかね、32歳ってリアルですよね〜。

なんかね、30歳とか31歳んときはまだ20代のロスタイム的なテンションだったんで、『TATOOあり』の宇崎竜童よろしく“俺も今年で30歳だ。ここらで何かひとつデカいことをせないかん”と奮い立つこともなく、漫然と、漠然と、きわめてのびのび怠惰に面白おかしく暮らしてましたけど、32歳ともなるとついに30代に突入したなっていう感じですね。

言い逃れできませんよ。

32歳はさすがに三十路丸出しですよ。

まさか自分が32歳になる日が来るなんて思ってもみませんでしたね。

何をどうやったら32歳になるのか解らない。

理解不能です。

ハタチんときはもう三十路ともなれば、外車3台持ってて5ヶ国語話せて年収億は超えてるだろうなと思ってましたけど、現実はママチャリ1台、英検三級のフリーターですよ。去年の年収とかリアルに100万いってないし。

僕はこれからどうなるんですかね。ていうかどうすればいいんでしょうかね。

もうね、今年は誕生日の前後からして前途洋々って感じだったんですよ。

まず3月11日ね。この日はバイトだったんですけど、もうヘットへトに疲れててね、とにかくダルかったんですよ。

どのぐらいダルかったかっていうと、帰りにブックオフ寄って、別段読みたくもない『ろくでなしブルース』の適当な巻を2〜3冊買おうか悩んだぐらいダルかったですね。

で、まぁ帰ってきて。そしたら同居人のセイジくんが先に帰ってきてたんですけど、彼もまた相当なダルさを抱えていたんですよ。二人してリビングのテーブルに向かい合って座ってね、ひたすらダルい会話劇を繰り広げてました。


『……なんか面白いことないかね?』

『……無いよ』

『……コンビニ行って酒買う?』

『……そういう選択肢もなくはないね』

『……銭湯とか行ってみる?』

『……可能か不可能かでいえば可能ではあるけど』

『……でもね』

『……うん』

『……それにしてもなんか面白いことないかね?』

『……無いよ』


空前絶後の倦怠感。

やる気のないこと山の如し。

もう正直言って悪いけど、金玉の皮をいたずらに引っ張って伸ばしてみる程度の意欲しかなかったですね。

ほいでそーこーしてる間にね、もう気がついたら21時。あと3時間で32歳という時節になったとき、急に『これでいいのか』と思ってね。

あのね、引っ越すときね、まえ使ってた収納棚付きベッドがアパートの扉を通らなかったんで、全部ぶっ壊したんですよ。で、新しくパイプベッドを注文していたんですけども、組み立てる気力がなくてずっと放置していたのね。31歳のうちにそれを組み立てようと思ったんですよ。

31歳になる前にそれを完成させて、そのベッドの上で32歳になっていこうと思ったの。

僕は突然やおら立ち上がって、セイジ君に『俺たちはこれでいいのか?』って訴えました。

で、『金曜だぞ。まだ夜の九時だぞ。俺たちはまだ何者にでもなれる。ここから一悶着起こすことができる。お前は今すぐ準備して飲みに行け。俺は今からベッドを組み立てる』って宣言して、ベッドを組み立て始めたんです。

この決断力。

これが32歳からの俺のテーマだと。

山塚リキマルは決断をする。

でね、そっから額に汗してベッドを組み上げて、31歳のラスト31分、23時29分にベッドを見事完成させたのです。時間にしてたったの二時間半。

この偉業を今すぐ世界に発信したいと思いながらAmazonのレビュー見たら、『力のない女性でも一時間半で組み立てられました!』とか書いてあってね、己の木偶の坊ぶりを再確認した次第ですけどもね。

んで完成したベッドに横になって、スマホでTwitter見ながらウマ娘とアイドルマスターの二次創作イラストに延々いいねを付ける作業を行っているうちに気がついたら32歳になってましたね。

滑り出し好調。

これからの一年を象徴づけるようなバースディの始まりでごぜーました。

で、飲みに行ったセイジ君も帰ってきて、大音量でテクノ聴きながら朝まで飲んで、気絶眠しましたね。


セイジ君に『32歳の抱負を!』って言われてとっさに出た一言が『年収200万超える!』だったんで、今年はそんな感じで頑張りたいと思ってますし、お前らも応援のほど宜しくお願い致します。



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