LEAK
inktober2021 23日目のお題は「LEAK」 漏れ。
わたしがナイショにしてほしいことを「誰にも言わないで」と前置きをして話す。でもね、わかってる。誰にも言わないでいてくれた人は少ない。会社の同僚には言わないでくれるが、家で家族には話している。わたしの友人には黙っていてくれるが、恋人には話している。
そんなことが少なからずあったので、めったなことでは自分の恥ずかしい話やキツかった思い出は、人には話さないことに決めた。自分の脳内に留めておくのだ。これこそが「墓場まで持っていく」というやつだ。どうだ、わたしの秘密はわたしだけのものだ。と、妙な優越感に浸って暮らしてきた。
ところが最近、老化のせいか、わたしの脳内セキュリティにバグが出始めた。わたしは過去の「恥ずかしかったこと」を思い出してしまう。そして、口から声が出てしまうのだ。「いやいやいや、ホント、すみませんでした!!」と、茶碗を洗いながら、通勤電車でつり革に捕まりながら、脳内が音声で漏れてしまっている。
人には知られたくない、過去の失敗もたくさんあって、恥ずかしいから黙っているのだが、ふとしたことで思い出して、声が漏れる。「ああああ」と言いながら、頭をガシガシと掻き毟ったり、顔を手で覆ったりする。
なんでも老朽化すると漏れてしまうのだ。しかし、モノは修理できても、自分の脳は修理できない。あとはダダ漏れの日々が待っているのだろう。
おそろしい。
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