のみこむ
夢日記。
わたしは、非正規の先生である。教師としての立場ではないが、生徒になにかを教えたり、授業の準備をしている。クラスの担任ではないが、いつも生徒と一緒にいる。
そこにヤクザか暴力団かわからないが、黒づくめの男とチャラチャラした若造たちが入ってきた。そして、部屋に閉じ込められた。わたしたちは監禁されたのだ。
部屋は、よく見ると教室ではなく、高級クラブか何かで、分厚い絨毯を敷き詰めた床、天井にはミラーボール、壁やカウンターテーブルも赤だった。
わたしは生徒たちを背後にかばいながら、ふと、床の絨毯の模様が気になった。わたしなら、こういうデザインにするけどなあ、と思うと、なぜか絨毯に模様を植毛する機械が手元に現れた。
わたしはハイヒールの絵に英文字を添えた。いや、ちょっと違うかな。ここは消しておこう、そう思ったが、一度植毛した絨毯は、カッターナイフで糸を解かなければならない。絨毯をカッターでガリガリと切っていると、男の手下が叫んだ。「おいこら!そこで何やってんだ!!」
「あ、いや、その」としどろもどろのわたしに、黒づくめの男が詰め寄る。「こんなことをするってことは、命かけてやってんだろうな!」
「いいえ、そんな覚悟はありません。ただ、責任を取れと言われるなら、仕方ありませんが」
男はカッとなった。なぜかわたしは『金属棒でめった打ちにされる!』と思い、身構えた。骨が折れるどころじゃないだろう。死ぬなあ。死んじゃうぞ。
しかし、それは違った。男が「丸めた紙を飲み込め。喉を通ったら許してやる」。そして手下の男たちに「キレイに後片付けしておけよ」と言って、その場を去った。周囲のチャラい手下たちは顔面蒼白である。この手厳しい責め苦を乗り越えた人は、これまでにいなかったのだろう。そしてその死に方は、後片付けが面倒なくらい、壮絶なものに違いない。
男たちはわたしの両脇を押さえ、口の中にクシャクシャにした紙を突っ込んだ。そう大きくもないが、紙である。飲み込めるものではない。わたしは噛んだ。とにかく小さくなれば飲み込むことも不可能ではない気がした。
「早く飲み込め!オラオラ!」とすごむ男たち。わたしは口いっぱいの紙が飲み下せなくて声が出せない。しかし、ある瞬間を境に、紙が急に小さくなって、ゴクリと飲み込んだ。いや、喉で詰まっている。苦しいが、わたしは何度も唾を飲み込んだ。
食道を抜けて、紙がスルッと胃に落ちたようだ。気管が開いて、わたしは息ができた。生徒たちは拍手喝采で喜んでくれた。手下の男たちも後片付けが必要なくなってホッとしたようで、わたしに「もう行け。二度と来るな」と言った。
目が覚めたら、喉がカラカラで、亀裂でも入ったかのように痛んでいた。