きんけつ
現金が手元にない。
いやあ、昨日は奮発してしまった。お財布にあるお金をジャンジャン使うという贅沢をしたのだ。わたしには孫はいないが、孫のためにおばあちゃんが、ホイホイとお金を出すような感じで、もったいないとか惜しいとか思わずに使った。
友だちの飼い犬が亡くなって、その墓前に供えるお花を買った。別の友だちが出店しているフリーマーケットで、食べたいもの飲みたいものを値段も見ずに注文した。まあ、それでお財布が空っぽになるくらいの金額だから、そもそもたくさん入っていたわけではないのだ。
精神的にとても楽だった。いつもはお金を使う時、罪悪感もあるし、これを使って大丈夫かなと不安になる。しかし、なぜか昨日は全然、不安にならなかった。気持ちよーく使って、何かすっきりした気持ちにさえなった。お財布には、小銭が少々残っているだけだ。お給料日までまだ1週間あるというのに。でもそれが愉快でならなかった。昨夜までは。
今朝になって、ムスメが「5,000円いる」と言う。え?なんでよ。部活の親睦会で、みんなでボウリングに行くと言うのだ。5,000円て!「だって、いくら要りますか?ってLINEで聞いたら『5,000円あれば足りると思います』って返事がきたんだもん」高校生が?どんな親睦会かよ、と思ったが、使った残りは返してくれると言うので、まあ、それはいい。しかし、わたしには現金がない。
オットに、5,000円貸してくれないか、と頼んだら「俺は今、4,500円しか持っていない」と言う。あと500円が足りない。わたしはポケットを探る。
奇跡的に500円玉が一枚入っていた。昨日フリーマーケットで500円のブローチを買おうかと思って出したが結局買わなかった。その500円玉を財布ではなく、ポケットに入れていたのだ。この500円を使わなかったのが、今日、こうなることがわかっていたかのようではないか。
さらにムスメは「nimocaに残金がない」と言う。チャージしようにも、もう現金がないのだ。仕方ない。わたしのnimocaを貸してやった。
さて、これで家の中から現金も、交通系カードのチャージも無くなった。すっからかんである。笑いしか出てこない。
「腹がへったが、買い出しにも行けない」とオットが言う。確かに、家にあるもので凌ぐしかない。いや、心配するな。米も味噌もあるじゃないか。タコなしでいいならたこ焼きだってできるぞ。あ、今夜はたこ焼きにするか。タコがないから、「焼き」だがな。