おしるこ
「しるこサンド」というお菓子。子どもの頃からスーパーで売られていたのだが、知ってる人がすごく少なくて、どうして人気がないのだろうか、と思っていた。スタンダードしるこサンドは、切手よりも少し大きめの四角い形で、フチがギザギザになっている。間に薄ーく乾燥したあんこが挟まっている、カリカリした食感のクラッカーである。ちょっと硬めなので、おばあちゃんはお茶とともに口に放り込んで、じわっと柔らかくなるまで待ち、もぐもぐと食べていた。
どうやら、愛知県のメーカーが作っていて、近畿地方ではネームバリューがあるらしい。三重県出身の人が「しるこサンドっていう、地元のお菓子です」と持ってきたことがあった。そこで「知ってるよ」と言ったら、「本当に?よくこんなマイナーなお菓子を知ってるね」と驚かれた。え。それなら、うちの近所のスーパーは、かなりのレアアイテムを仕入れていることになる。本当にマイナーなの?
昨日、100均に行ったら、バリエーションがあって、「しるこサンド安納芋」「しるこサンド栗」そして「しるこサンドスティック」が並んでいた。おお、これは。迷わずスティックを手に取る。この形状は食べやすそうだ。
カリポリとスティック状のしるこサンドを食べながら考えた。お汁粉はぜんざいと何が違うんだろう。
わたしは、うっすらと、『こしあんに白玉がお汁粉で、粒あんに餅がぜんざい』と思っていたが、厳密には違うらしい。関東では、汁気のあるものをお汁粉、汁気のない粒餡を餅にかけたものをぜんざいというそうだ。そういえば、東京で「ぜんざい」と看板の出た甘味処でそういうものを食べた記憶がある。その時は「なんだこれ。汁気がないぞ。今日はお客さんが来なくて、いつの間にか煮詰まったんだろうな」と考えていた。そうじゃなかった。これこそが正統派ぜんざいだったのだ。さっきググってみたら、関西ではその形状のものを「亀山」とか「金時」と呼ぶらしい。それも知らなかった。
関東と関西で違うといえば、ぜんざいやお雑煮にいれる、丸餅と角餅。昨日、全国の教室をつなくハイブリッド授業というのがあって、関東の先生が「皆さんの地域で、お雑煮にいれるお餅は、丸ですか?角ですか?」と聞いた。すると、わが校の生徒の一人が堂々と「角餅です!」と答えた。
いや、それは違う。地域性というか、郷土料理目線で言えば、ここは丸餅エリアである。その子のお家が角餅派でも、県代表として答えるなら丸餅であろう。しかし、そこを否定するのも違うので、「お家によって違いまーす」と答えておいた。もっとびっくりしたのは、「わからない」と答えた子が数人いたことだ。お雑煮やぜんざいなど、餅を入れた料理を食べないと言う。
しるこサンドの話からかなり脱線してしまったが、着地点は餅の悲哀となってしまった。餅よ。気の毒に。