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なやむぜ
19時すぎ、もうすぐご飯だよ、とムスメに声をかけたら「あのね、あーちゃんがなっちゃんのところに行くっていうから、ちょっとわたしも行ってくる」と出て行こうとする。なぜこんな時間にあーちゃんはなっちゃんの家へ?と思ったが、「早く帰ってきなさいよ」と声をかけて、行かせた。
20時になっても帰らない。帰って来いよとLINEを入れたら、「お母さん、あーちゃんが家出したっていうからうちに泊めていい?」と、ムスメが返事をよこした。女子高生の家出は、一大事。理由はどうあれ、周りは大騒ぎだ。友だちが数人で集まって、ああだこうだと話し合いをしているらしい。
「とりあえず、うちに連れてきて、一緒にごはん食べなよ」と返事をした。
実はその直前、あーちゃんのママから電話があったのだ。「うちの子が今日は帰らないって家を飛び出して行ったんだけど、心当たりがなくて」と心配そうな声だった。あーね、たぶんそれは、うちの子と一緒にいると思うよ。後で連絡するね、と言って電話を切った。
彼女たちの動きが全くもって想像の範囲を超えていない微笑ましさ。夜の繁華街をぶらついて良からぬ人から声をかけられるとか、年上のボーイフレンドの家に転がり込むとか、そういうドラマ性(危険性?)の高い展開にはなってない。ホッとして笑ってしまった。
お母さんと喧嘩した→家を飛び出した→友だちに相談した→みんなで集まって励ます→どうしていいか分からなくなった→「うちの親に頼んでみよう」と思う子がいた(これがうちのムスメ)→とりあえず頼んでみる
なんだか、みんなが捨て猫を見つけて、誰が飼う?どうする?お母さんに聞いてみる?みたいな感じに似ていると思った。いや、それとこれとは全然違うんだけれど、なんだろう、その「一大事感」とか「なんとかせねばという連帯感」というか。守ってあげなきゃ、みたいな必死な感じ。
なんで喧嘩になったのか、なんで飛び出したのか、は聞いてないのだが、「母さんが、激おこで帰りづらいんす」と言っていた。だろうね。わかるよ。怒ってる人のところには帰りづらい。でも、今日帰らなかったら、明日はもっと帰りづらくなる。そういうもんだ。
晩ごはんの豚の生姜焼きとオムライスを食べながら、ムスメとあーちゃんは他愛もない話をしていた。多分、わたしやオットのいる前ではいろいろと話すこともできないのだろう。狭いわが家だが、彼女たちから見えない場所で、わたしはあーちゃんのママに電話した。
「良かったー。お世話になって申し訳ない」とママは恐縮している。わたしが「激おこで帰りづらいらしいよ」と言ったら「そうなのよね。些細なことだったんだけど、日頃のあれこれをきつく言ってしまって」としょんぼりしている。それだけ娘のことを心配しているんだろうけれど、それは当の本人のあーちゃんには伝わらない。思春期の若者と親は、ただでさえ意思の疎通が難しいことが多いのに、喧嘩したらそりゃもう、引くに引けないプライドの戦いになりがちだ。
さて、これからどうやってあーちゃんを説得して、家まで送り届けるか。
悩むぜ。
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