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病気でも安心
あまりにキツくてこれはもう限界、と思って病院に行ったら、割としっかりした病気だった。昨日から、病院で点滴を受けている。
おととい採血した場所が、血管が一番取りやすいらしく、看護師さんは昨日「ここに針さしていいですかねえ」と言った。三日目の今日も「ここが一番なんですよねえ」と、同じところに針をさした。しかし、全く同じではない。2ミリ間隔で三つ針の跡がある。おそらく明日、明後日も点滴の予定なので、あとふたつ、穴があく。
病院は、かなり高齢のおじいさん先生が兄弟でやっていて、病院の設備もかなり古い。しかし先生の腕が良く人気の病院で、看護師さんも個人病院にしては多いと思う。
若い看護師さんが「点滴しますねー」と、準備を始めた。ベッドに横になると、「血圧測りまーす」と手動で測った。次に「脈を数えまーす」と手首で脈をとり、点滴の針をさした後は「1時間半くらいで終わりますからね」と、時計の針を見ながら点滴の落ちるスピードを調整した。全部アナログだ。看護師さんの職人技みたいな感じだ。
オットの父がICUに運ばれて、最新の医療機器に囲まれていた時、看護師さんは、点滴の針を腕にさした後、パネルでピピピとボタンを押し、点滴のスピードや量を調節した。脈も血圧も数十分おきに腕に巻いた帯が膨らみ、自動で記録された。そんな最先端の病院と比べると、この病院では本当に職人技が活きている。いや、当たり前のことかもしれないが、初めて見た。
どの看護師さんにやってもらっても「ちくっとしますよー」と言われるが、本当にチクッとしかしない。今日なんか看護師さんが「あー」と言うので、「どうかしましたか」と聞いたら「いやー、ぶっすりと刺さる手応えがあったので、痛かったんじゃないかなと思って」と。全然痛くなかった。
結局、何もかも、世の中は人なのだ。自動運転の車が走る時代になっても、「痛くないですかー(心配そうな顔)」とか「何かあったらすぐに言ってくださいね(ニコッ)」とか、そんな小さなコミュニケーションが病人には響く。
いや、病人ではなくても、きっと響くのだ。
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