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ゼッケン

年度始めの苦行の一つに、体操服のゼッケンがある。このほか、家庭調査票の地図(通学路)、制服の全てに縫い付ける名札などがあるが、ゼッケンに比べたら、お茶の子さいさいだ。最近は、地図はグーグルマップをプリントアウトして貼ることにしたので、あまり苦ではない。名札は、サイズが小さいのですぐ終わるのだ。

体操服は伸縮性ばっちりの素材で、ゼッケンの方は綿100%の伸縮しない布だ。第7世代のiPadくらいのサイズ。これをおなか側と背中側に縫い付ける。縫っているうちに、ゼッケンがゆがんでいく。体操服の素材が伸びるので、縫い目が突っ張ってしまう。腹がたつが、自分のソーイング能力の欠如を呪うしかない。

幼稚園の時からこれをやってきたので、12年目。縫う前に、縫うより重い苦行がある。ゼッケンに名字を書かねばならないのだ。何よりもこれが面倒くさい。手書きだと、ムスメにかなり恥ずかしい思いをさせるとわかっているので、活字を拡大してプリントアウトし、トレースをする。油性マジックでその輪郭を描き、フチの中を塗りつぶす。今年度は万全の体制で、輪郭用の細い油性ペンと、中を塗りつぶす太めの油性ペンを用意した。輪郭はうまくいった。しかし、塗りつぶす時におかしなことに気づいた。思うように塗れないのだ。布にみるみる染み込んで広がってしまう。輪郭を乗り越えてはみ出してしまうのだ。おかしい。ペンをよくよく見たら、「油性 アルコール溶剤 布には向きませんので、使わないでください」と書いてあった。買う前に気づけばよかったのだが、後の祭り。

ああ、面倒くさい。

おとといの体育の時間に、前年度のゼッケンをつけたまま学校に持って行かせた。すっかり忘れていたのだ。帰ってきたムスメは「みんな新しいのをつけていたよ」と、淡々と報告した。明日はまた体育の授業がある。さすがにまた同じゼッケンをつけていくわけにはいかんだろう。ゼッケンにはクラスの数字が大きく書かれていて、前年度は5だが今年は2だ。すぐバレる。

午後8時すぎから始めた作業だが、気づけば11時を回っていた。1度縫ったものの、ゆがんでしまったので解いて2回縫い直したので、時間がかかった。それで慌ててnoteを更新をしようという、成り行き任せである。かあさんは夜なべをして手袋を編んでくれたそうだが、わたしは夜なべでゼッケンを縫う。

ところで「ゼッケンて、なぜ必要なんだろうか」と考えながら書いていたら、いつのまにか目を閉じていた。危ない。このまま寝るところだった。



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りかよん
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