おもえば
いつも「具体的に書いて」と文章教室の小学生たちに言っている。たとえば「スキーが楽しかった」と書いた子がいたとする。わたしは「どう楽しかったの?」「何が楽しかったの?」「なんで楽しかったの?」と質問攻めにする。すると「えーと、初めてのスキーだったから、できるようになって楽しかった」「雪の上を滑るとスピードが出て楽しかった」「お父さんが教えてくれて、一緒に滑ったのが楽しかった」と話す。「お父さんはなにか言ったの?」「最初、たくさん転べって言った。できるようになったら、覚えるのが早いな、って言った」「嬉しかったね」「うん」「じゃあ、それを書いたら?」と言うと、「あ、そうか」と、鉛筆を握り直して力強く書き始める。
「具体的に書く」。わたしがnoteを書く時、それができないことが多い。自分でブレーキをかけてしまう。誰も傷付けず、自分や身内の恥をさらさず、文章を書こうとしているからだ。それは保身ではないのか。では、なにから身を守ろうとしているのだろう。
何かをレクチャーするほどの立場にはなく、あえて披露するほどのおもしろい自虐ネタも持っていない。さて、noteに何を書くのか。
身近な人たちが亡くなっていき、自分にももうあまり時間がないのかもしれないなと思う今日この頃。書き残すことと、残さないこと。どっちも大事かなと思ったり、思わなかったり。…どっちやねん。
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